健康

2023.05.13 15:00

「セルフ・アウェアネス」は万能ではない、負の結果を招きがちな2パターン

自己認識の探求をトーンダウンすべき状況を示す、明確なサインの1つは、物事をあるがままに受け入れたり、成り行きに任せたりすることができない心理状況だ。自分のさまざまな面を客観的に見ることができず、どうしても「修正」あるいは「解決」しなければという思いが湧き上がってくるのであれば、そうした面にはあえて触れないほうが得策かもしれない。

自分自身を徹底的に検証したいという衝動が抑えられないなら、メンタルヘルスを専門とする医師に相談し、完璧主義が雪だるま式にエスカレートするのを防ぐ必要があるかもしれない。

チェック項目2:他の人より自己を優先

理想的なシナリオでは、自己認識を確立すれば、自分の扱い方と、周囲の人たちへの接し方の両方に関する全体的な視点が得られるはずだろう。しかし、よくありがちな誤りがある。つまり、自分自身の構築したストーリーに完全に没入してしまい、他の人たちには目を向けないことだ。

例えば、マインドフルな瞑想の習慣について考えてみよう。こうした瞑想は非常に有効なツールで、その効能には、自己認識の構築も含まれている。しかし、学術誌『ジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・クリニカルサイコロジー』に掲載されたある研究では、マインドフルな瞑想は、確かにメリットやプラスの効果もあるものの、人間関係の維持や修復に関しては、かえって逆効果になるおそれもあるとしている。

この研究によれば、瞑想には、罪悪感を減少させる効果があったという。これは、個人のレベルで見ればすばらしい効能かもしれないが、周囲の人たちとの関係を修復しようとする際には、これがかえって障壁となるかもしれない。自分の気持ちをすっきりさせることや、状況に対する自身の反応を分析することに集中していると「自分が他の人をどんな気持ちにさせているか」という視点が完全に欠落してしまうことがあるからだ。

こうした視点をさらに突き詰めていくと、この「自己認識」というブランドが、完璧主義者やナルシシストの手に渡った時に、どんなダメージを引き起こすかについては想像がつくだろう。あなたの自己認識が、自分にとってはメリットがあるが、他者を傷つけるものになっている場合は、全面的な見直しが必要かもしれない。

結論

自己認識はいわば、メンタルヘルスという矢筒に入っている多くの矢の1本にすぎない。これを、あらゆる問題や状況を解決に導く万能薬のように扱えば、残念な結果に終わるおそれもある。

自己認識を追求するあまり道を外れてしまった時に効果的なのは、むしろ、あなたに愛情を注ぎ、できる限り力になろうとしてくれる他者の声を聞くことかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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