―取るとどういういいことがあるの?
「その資格って、取ると何が良いの?」。受験中、ほぼ100%聞かれた質問だ。個人的には、資格を取得するメリットは大きいと感じている。まず、WSETは世界共通の資格のため、海外でも通じるのは大きな利点だ。WSET資格保有者といえばワインをきちんと学んだ証明になるため、ワイナリー訪問の際にも手厚く対応してもらえるメリットがある。ワイン業界にいる筆者の場合は、Diploma受験者/保有者であることで、新規の仕事を頂ける機会がいくつかあった。もちろん資格だけが要因ではないだろうが、難易度の高い資格への挑戦が信頼感に繋がった証といえるだろう。
一般の愛好家でも、「ワイナリー訪問やイベントなど、ワイン生産者と会って話す際に、自信をもって質問ができるようになった」「SATを学んだことで、ワインをロジカルに分析できるようになった」という声をよく聞く。
筆者が感じた一番大きなメリットは、ワインの勉強を通じて人脈が広がったことだ。受験中はスタディグループやSNSを通して、日常生活では出会わない業界の人と知り合うことができた。WSET受験者にはワイン業界以外の人も多く、業種もさまざまだ。Diploma取得後は、さらに上の世界最難関のワイン資格「マスター・オブ・ワイン」へ挑戦する人もいる。資格取得に満足せず研鑽を続ける仲間の存在は、大いに刺激になる。
晴れてL4 Diplomaに合格すると、ロンドンのギルドホールでの卒業式へ出席することができる。格式高いギルドホールで、世界中から集まった合格者とともに喜びを分かち合う時間は、すべての苦労が報われる瞬間だ。
人と人をつなぎ新たな世界を見せてくれるワインの資格。ぜひあなたも挑戦してみてはいかがだろうか。
水上彩(みずかみ・あや)◎ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身。『日本ワイン紀行』ライターとして日本全国のワイナリーを取材するなど、ワイン専門誌や諸メディア等へ執筆。WOSA Japan(南アフリカワイン協会)のメディアマーケティング担当として、南アフリカワインのPRにも力を注ぐ。J.S.A認定ワインエキスパート。ワインの国際資格WSET最上位のLevel 4 Diploma取得。