更新世後期、巨大動物は2度大量絶滅した 菌類の胞子から判明

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更新世の後半(約7万~1万年前)には「第四紀の大量絶滅」と呼ばれる古生物の大量絶滅が起こったことがわかっている。このとき絶滅したのは、主に「メガファウナ」と呼ばれる巨大型の動物相だった。

コロンビアのアンデス地方に生息していたメガファウナの糞から見つかった菌類の胞子から、こうした巨大動物たちの絶滅には「2回の波」があったことが判明した。この発見は、先ごろ発表された、堆積物サンプルから抽出された菌類の胞子に関する研究から明らかになったものだ。

糞生菌(英語ではCoprophilous[糞を好むの意味]と呼ばれる)は、動物の糞に発生する。植物が草食動物によって食べられると、植物に付着していた糞生菌も体内に取り込まれ、消化管を通った後、植物の消化されない部分とともに排泄される。するとこの菌類は、排泄物の山の中で成長し、周囲に胞子を放つ。こうして発生のサイクルが繰り返されるわけだ。

2023年4月26日付けでQuaternary Researchに発表された今回の研究では、湿地の堆積物サンプルから、糞生菌類の胞子が見つかった。これは、この時期のサンプルが採取された地点に、大型動物が存在していたことを示すものだ。というのも、これらの糞生菌類は、大型動物の存在なしでは拡散・成長できないからだ(メガファウナと呼ばれる動物は、体重が45kgを超えるが、1トンを超えるものなどもいた)。

グリプトドン(Glyptodon)のイメージ Getty Imagesグリプトドンのイメージ(Getty Images)

今回掘り出された菌類の胞子からは、当時、どのようなメガファウナが生息していたのか、正確なところを突き止めることは不可能だ。ただし過去の研究から、湿地のあったコロンビアのアンデス地方では、グリプトドン(Glyptodon)と呼ばれる、乗用車ほどの大きさがある巨大アルマジロや、メガテリウム(Megatherium、和名:オオナマケモノ)という全長6mにもなる巨大なナマケモノの近縁属の数種が広く生息していたとされている。巨大アルマジロやオオナマケモノ、そして他の興味深いメガファウナたちは、この地域で数百万年にわたって繁栄を謳歌していた。

複数の科学者からなる研究チームは今回、コロンビアの首都ボゴタから約60kmの場所にあるコルディレラ山系東部に位置する泥炭地「モンクウェンティーバ湿地(Pantano de Monquentiva)」から採取した堆積物の連続柱状試料(コア)を分析した。

分析の結果、この地に生息していた巨大動物たちは、これまでに2度絶滅していたことが判明した。1回目は約2万3000年前。そして2回目は約1万1000年前の出来事だ。2度の絶滅はいずれも生態系に多大な影響を与え、そのことは堆積物のサンプルからもはっきりと見てとれるという。

この発見は、今を生きる我々人類に大きな警告を発している。なぜなら、現在進行中の生物多様性の危機および大量絶滅は、野生生物と人間の両方を支えその維持に寄与している生態系全体を大きく変貌させると考えられるからだ。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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