ブラジル孤島で「プラスチック岩」発見 汚染の深刻さ示す

プラスチックが焼かれることで生じる岩石「パイロプラスチック」(Fernanda Avelar Santos)

ブラジルの沖合1140kmに浮かぶ絶海の孤島トリンダデ島で、プラスチックからできた岩が発見された。

トリンダデ島は、絶滅危惧種のアオウミガメが毎年産卵に訪れるところでもあり、その保護に関して世界でも特に重要な場所だ。島にいる人間はブラジル海軍の人員だけで、島にある基地の保守管理とともに、営巣するウミガメの保護も担っている。

問題のプラスチック岩は、海岸沿いで見つかった。これは、流れついたプラスチックごみが分解され溶けた結果、島の火山岩と混ざりあって形成されたものだ。

パラナ連邦大学の地質学者フェルナンダ・アベラル・サントスはロイター通信に対し、このプラスチックごみの由来は主に漁網であることがわかったと説明。トリンダデ島の海岸には海流の流れに乗って漁網が非常に多く漂着しており、「気温が上がるとプラスチックが溶け、岸の天然物質と融合する」のだという。

この発見は、プラスチックごみ汚染が広範囲におよんでいることを示すもので、地球の地質学的サイクルにおける人間の影響が増大している証拠になると研究チームは述べている。

礫岩(コングロメレート)の新種であるプラスチック岩は「プラスチグロメレート(plastiglomerate)」と呼ばれ、2014年にハワイ島の海岸で最初に発見された。ハワイ島のプラスチグロメレートは、人間が起こした火事で溶けたプラスチックから形成されたものだった。

プラスチックを含む人間起因の岩石としてはそのほか、プラスチックが焼かれることで生じる「パイロプラスチック(pyroplastic)」がある。これは、2019年に英国南西部コーンウォールの海岸で見つかった

実験では、白もしくは色つきのプラスチックの破片を燃やすと、プラスチックが溶け、小石に似た灰色もしくは黒のかたまりになることがわかっている。パイロプラスチックの化学分析では、このプラスチックの小石は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの材料から構成されていることが示されている。

ポリエチレンは、最も良く使用されるプラスチックだ。2017年時点で、毎年1億トンを超えるポリエチレン樹脂が生産され、プラスチック市場全体の34%を占めていた。主な用途は、プラスチック袋などの包装材、プラスチックフィルム、ペットボトルなどの容器だ。

一方、ポリプロピレンはポリエチレンに似ているが、それよりもやや硬くて耐熱性が高く、包装材によく使われている。ポリプロピレンの世界市場は、2013年には約5500万トン規模に達していた。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ・編集=遠藤宗生

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