AI

2023.05.01 08:30

米国を代表する医療機関、メイヨークリニックのAI導入

monticello / Shutterstock.com

人工知能(AI)やジェネレーティブAIに対する熱狂が、市場規模数兆ドルのヘルスケア業界にも波及し始めている。しかし、医療現場での誤診を防ぐためには、AIモデルの学習に用いる健康データの質と量を向上させる必要がある。

「医療機関はデータを外部に開示しないため、入手が非常に困難だ」と米国を代表する医療機関であるメイヨークリニックのデジタルプラットフォームMayo Clinic Platformのプレジデントのジョン・ハラムカ(John Halamka)医師は話す。

ハラムカは、他の研究者と昨年発表した論文の中で、ヘルスケアAIの実装を成功させるためには高品質なデータが重要であると主張した。メイヨークリニックは、データの不足の課題に対処し、医療現場でAIソリューションをテストすることを目的に、3年前にデータプラットフォームを構築した。

当初は、1000万件の非特定化されたデータからスタートし、その後40年以上に渡って収集した530万人の患者の6億4400万件の臨床所見や、心エコー図などのデータを追加した。「非特定化されたデータベースを構築し、150以上の組織がAIモデルの開発と検証に参加できるようにした」とハラムカは話す。

この中には、アトロポス・ヘルス(Atropos Health)が含まれる。同社が提供するデジタルコンサルタントサービスは、医師に対して詳細で正確なコンサルテーションを提供する。アトロポスが開発したAIツールは、医師からの問い合わせに対して独自の検索・分析プログラムを実行し「プログノストグラム(Prognostogram)」と呼ばれるレポートを自動生成して医療現場における意思決定を支援する。

同社のCEOのブリガム・ハイドは、このツールの期待される効果について次のように述べている。「メイヨークリニックが保有する豊富な現実世界のエビデンスにより、プログノストグラムは医師に対してより効率的に医療提案を行うことができる」

アトロポスが、医師からの最初の100件のリクエストに対して提供した情報を調査した研究結果は、次のように結論付けている。「臨床現場での意思決定を支援するオンデマンドのエビデンス生成は実現可能だ。大規模な患者データリポジトリを構築できれば、このようなサービスがもたらすメリットは計り知れない」
次ページ > すべてをAIに任せるのは危険

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事