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2023.04.07

医療分野でも導入進む「ジェネレーティブAI」の活用事例

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2月に行われた研究で、ChatGPTが米国医師免許試験(USMLE)においてほぼ合格点に到達したことが示された。医学生たちは膨大な時間を費やして学習を行い、このテストに合格しているが、ChatGPTは特別なトレーニングを行わずに、この試験で合格水準に達したという。

これを受けて専門家は、大規模言語モデル(LLM)が将来的に「医学教育や臨床的な意思決定を支援する可能性がある」と述べている。ヘルスケア分野における人工知能(AI)の活用は、事務作業の補助や病院内のワークフローの管理、診断の補助など、多岐にわたっている。

例えば、イスラエル企業の「Diagnostic Robotics」のAIツールは、予防可能な健康上のリスクを持つ人々を特定し、患者の入院にかかる時間とコストを削減している。同じくイスラエルの「OncoHost」は、特定の患者に対するがん治療による医療効果を予測することにより精密医療を推進している。ニューヨークの「AEYE Health」のツールは、糖尿病の兆候を検出し、ポイントオブケアで実用的なソリューションを提供することで人々の視力の低下を防いでいる。

しかし、ここ最近のジェネレーティブAIのブームによって、ヘルスケア分野におけるAIの導入はさらに加速している。ジェネレーティブAIは、医師と患者との会話の保存やデータの管理に特に有効活用できる。例えば「Abridge AI」のツールは、診察時の音声から医療データの要約を作成するものだ。

カンザス大学ヘルスシステムは、同社のアプリケーションを1500人以上の開業医に提供しており、同大学の医師は「このツールで、私たち医療者が直面している最大の課題である文書化に費やす膨大な時間を節約できる」と述べている。

AIが事務作業を合理化するもう1つの事例は、ChatGPTを専門医療ネットワークDoximityの無料デジタルファックスサービスに統合した「DocsGPT.com」だ。このツールを用いてDoximityの会員は、保険会社にデータを送信する際に、医師が確認するレターを作成している。
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編集=上田裕資

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