アマゾンと3M、生成型AIを活用し医療従事者の書類作成を支援

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世界で最も有名な2つの企業、アマゾンと3Mが、医療従事者にとって最も重要な問題点の1つである「臨床文書作成」の解決を目指し、大胆なパートナーシップを発表した

今回の提携により、3MのHealth Information Systems(HIS、ヘルスインフォメーションシステム)は、Amazon Web Services(AWS、アマゾンウェブサービス)と提携し、そのM*Modal Ambient Intelligence(M*モーダルアンビエントインテリジェンス)サービスを進化させる(訳注:アンビエントインテリジェンスとは直訳すると「環境知性」となり、人間をとりまく環境が連携して、快適な空間を作り出すコンセプトを表す)。3Mはこれを「会話型人工知能(AI)とアンビエントインテリジェンスを用いて臨床文書を自動化する」ことで、文書作成を「患者訪問の副産物として自動的に作成し、医療従事者にとって負担のかかる別作業ではなくするツールだ」と説明している

AWSは、Amazon Bedrock(ベッドロック)、Amazon Comprehend Medical(コンプリヘンドメディカル)、Amazon Transcribe Medical(トランスクライブメディカル)の各プラットフォームを中心に、このパートナーシップに対して多大な専門知識とリソースを提供する予定だ。

Bedrockは「ファウンデーションモデル(FM)上に生成AIアプリケーションを構築し、拡張する」というアマゾンの新しいアプローチで、ユーザーにFMを自分のデータでカスタマイズさせ、それを用いたカスタマイズアプリケーションを展開させる機能を提供する。こうしたアプリケーションのカテゴリー例としてはチャットボット、検索ツール、画像生成サービス、テキスト要約ツールなどが挙げられる。実際、Bedrock は、直近ではMicrosoft(マイクロソフト)とGoogle(グーグル)が話題を提供したような、テクノロジー企業による独自の生成AIツール発表ラッシュ対するアマゾンの回答だ。

アマゾンは、Transcribe MedicalおよびComprehend Medicalプラットフォームを通じて、医療関連の文字起こしおよび臨床文書作成の分野で多くの経験を積んでいる。前者は「音声対応アプリケーションに医療用音声テキスト変換機能を簡単に追加できる自動音声認識(ASR)サービス」、後者は「医師のメモ、臨床試験報告書、放射線報告書などの非構造化医療テキストから医療情報を抽出する」機械学習による自然言語処理サービスだ。

これらのさまざまなサービスやプラットフォームを組み合わせることで、現行の臨床文書作成作業に革命を起こせるかもしれない。
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翻訳=酒匂寛

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