ジンズ ミーム。独自に開発した3点式眼電位センサー(特許取得済)と6軸モーションセンサー(3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー)を搭載する
始まりは、当社の社長が「頭が良くなるメガネをつくれないかな」と言ったこと。それで、東北大学の川島(隆太)教授に相談に行き、目からいろいろな情報が得られるのではないかという仮説をもとに開発を進めました。
現在はそこから派生して、例えば身体の不自由な人が頭の動きだけでマウスを操作できるような機能も開発中です。
テーブルの上にあるのが開発中のミニドラを模したロボット
ジンズバイオレットプラスは、“バイオレットライト”を選択的に取り込むことができるレンズです。太陽光に含まれるバイオレットライトは、日中に2時間以上浴びると近視進行を抑制するという報告があります。ただ、特にコロナ禍では昼間に2時間も外に出られる機会がないという方もいます。そこで、室内でもバイオレットライトを浴びることができるメガネを研究開発中です。
ジンズでは、2050年をマイルストーンとしたサステナビリティ目標のひとつに、“近視をなくす”を掲げています。近視をなくすとメガネが売れなくなるのですが、我々はそれよりも社会課題の解決に取り組む姿勢です。
2022年7月からは、子どもの近視進行抑制の観点から外遊びを支援する「もっと外遊びプロジェクト」も行っています。第1弾として、認定NPO法人へ「JINS見る育プレーカー」を寄贈しました。プレーカーの車内には、多彩な遊び道具のほか、ジンズが寄贈したオリジナルの遊び道具「ビッグ見る育かるた」なども載っています。
大澤:実は僕も、ジンズ ミームに近い分野で、人の瞳孔を検知しその人が何を見ているかをリアルタイムに追うことができるセンサー技術「アイトラッキング」を使った研究を行っています。
この技術を活用して、手術中の医者の動きを解析し「腕の良さ」を言語化できれば、熟練した技術を持つ医者のノウハウを共有することができます。医学を学ぶ方々への説明に使用するのはもちろん、手術ロボットに学習させることも目指しています。
「見る」という人間の能力に関しては、まだまだ技術的にも発展の余地があります。そこに、人を幸せにできるポイントが眠っている感じがしますね。
田中:まさにそうだと思います。我々に近い領域の研究もされていたとは。
大澤:ドラえもんをつくる過程で、いろいろな技術や資金が必要になるので、そのためのひとつの研究です。
僕は、人間のことを知るからこそつくれる人工知能があると思っています。センシングなどを通して人の認知機能を理解し、それをAIの技術として応用することをとても大切にしているんです。