ジンズの未来を担うのが、取締役副社長の田中亮。新卒で銀行に就職したものの、ファッションへの興味が捨てきれず服飾専門学校に通い、その後ジンズへ。分社化した雑貨事業部を約5年かけて黒字化させたのち、商品企画やマーケティングに携わってきた。
一方、テクノロジーを活用して皆が夢見るドラえもんをつくろうと奮闘している准教授もいる。ロボットや人工知能の研究者であり、2022年のForbes JAPAN「30 UNDER 30」受賞者でもある大澤正彦(日本大学文理学部)だ。
同じ30代である2人は、これからの未来にどんな「モノ」を生み出そうとしているのか。
——消費者が求める「モノ」は、近年どのように変わってきたと感じますか。
田中:「できるだけ購入しやすい価格で、できるだけ良いものが欲しい」という本質的なところはずっと変わっていないと思います。ただ、お客さまのニーズは変化していて、昔は特定のブランドを皆が好む傾向がありましたが、今は求める機能やデザインが細分化していると感じます。
ジンズでもそうしたニーズに合わせて、サウナ用のメガネなどシーンを絞った商品やニッチなニーズに応える商品を増やしています。ちなみに、様々なコラボにも取り組んでいて、ドラえもんモデルのメガネもつくっています。
大澤:ニーズの細分化、とても納得感がありますすごくよくわかります。インターネットやSNS、インフルエンサーなどの影響ですかね。
田中:そうかもしれないですね。私が子どもの頃の主な情報源は雑誌だったのですが、雑誌では個々人の細かなニーズを満たすものを探せない。けれど、情報があふれる今の時代はそれぞれが自分のニーズを満たす商品にたどり着けるようになりましたよね。
ただ、情報の拡散スピードが速いぶん、商品がコモディティ化するのも速いので、その先のバラエティが求められるようにもなっています。
——「モノづくり」をするうえで大切にしていることは。
田中:ジンズでは「社会課題をテクノロジーで解決する」をビジョンに掲げて商品開発をしています。現在、社会課題を意識した商品は大きく2つ。メガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」と、目にいいと言われている光、バイオレットライトを選択透過できるレンズ「JINS VIOLET+(ジンズバイオレットプラス)」があります。