英語でgrouperと呼ばれるハタは、アジア圏で広く親しまれている白身魚。汎用性が高いため、試食会では様々な調理法で提供された。
UMAMI Meatsはこの培養魚肉を、2024年中にはシンガポール国内で販売する計画。政府との調整を進めている。
イスラエルでの試食会の様子
現在の生産量は1カ月に100g
Steakholder Foodsと UMAMI Meatsは、2022年にパートナーシップを締結。今年1月にはシンガポール・イスラエル産業研究開発財団(SIIRD)から、3Dバイオプリントを使った培養ハタと培養ウナギの開発のために、150万ドルの助成金を獲得していた。ハタとウナギは国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生生物のリスト「レッドリスト」に掲載されている絶滅危惧種だ。まず「ハタ」を選んだのは、アジア圏で広くニーズがあり、文化的にも重要な魚であることから。
試食会で提供された培養ハタは、UMAMI Meats のセルライン(細胞)を使い、Steakholder Foodsの3Dバイオプリンターで生産された。3Dバイオプリンターでの生産は、細胞をインクがわりにして培養魚肉を出力していく。
通常は一台のプリンターから一つの出力物を数時間かけて成形するが、Steakholder Foodsの3Dバイオプリンターは複数台のプリンターを使って、ベルトコンベア上に出力する形になっており、大幅な時間短縮ができる。
Steakholder Foods のArik Kafman CEOによると、現在の生産量は1カ月に100g程度。これを1カ月1kgまで増やすのが直近の目標だ。さらに、1カ月に100kgを生産できるレベルまで引き上げ、試験生産を行う予定だという。
「マシン自体は産業化できるレベルまできていて、今日から生産して消費者に届けられる状態ではあります。ただ、セルラインの生産スピードがマシンに追いついていないのが現状です。そこが今後の課題になっています」(Arik Kafman)