食&酒

2023.04.28

3Dバイオプリントの「培養ハタ」 イスラエルで初の試食会

3Dバイオプリンターを使ってプリントされた「培養ハタ」を使った料理

味だけでなく“肉感”の再現にも成功

気になるのはその「味」だが、試食会で培養ハタは好評で、様々な培養魚肉を食べた経験がある人たちからも「格別」との感想があった。

おいしさを実現できたのは、魚の味だけでなく“肉感”を忠実に再現することに成功したから。3Dバイオプリンターの技術はもちろん、魚から採取した細胞だけでなく植物性の原料を加えたこともポイントだという。

なお、現段階では“生”では食べられない。Arik Kafmanは「生食できる魚の生産には、細胞同士がつながるのに時間がかかったり、密度のコントロールが必要だったりと、まだ課題があります。次のステップで挑戦するつもりです」と話した。

ちなみに、試食会の前日にはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が試食。世界で初めて3Dバイオプリントの培養ハタを口にした人物となった。

次に開発するのは培養ウナギ

UMAMI Meatsは来年の商品化に向けて、安全性や品質に関するデータを集め、シンガポール政府とガイドラインの作成を進めている。

同社のMihir Pershad CEOによると、今申請している生産量を政府に認めてもらえれば、消費者も購入しやすい価格で提供できるようになるという。

両社が次に開発するのは培養ウナギ。主なターゲットは日本だ。

「我々は培養魚肉のなかでも、プレミアムなものを目指しているので、高い品質の魚が集まる日本で認められるような培養ウナギを開発することはとても重要です。また、3Dバイオプリンターの技術をつかって日本の食品プレーヤーともコラボしていきたいと考えています」(Mihir Pershad)

日本でも、そのプレミアムな“味”と“食感”を体験できる日が楽しみだ。

文=田中友梨 写真=Steakholder Foods提供

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事