チームは生分解可能なデザインにも取り組んでいるが、いくつか技術的課題に直面している。たとえば、光照射や雨で劣化しない生分解性材料が必要になる。さらに、接触帯電を利用するためには、自身が植物に異なる電荷を帯びさせる植物ベースの材料も必要だ。
同様の問題に取り組んでいる別の研究グループもある。中国・浙江大学(Zhejiang University)の研究チームは、植物性タンパク質を使って接触ナノ発電装置を作り、作られた電場の成長促進効果をチンゲンサイの成長促進に役立てている。
すべてが信じられないことのように聞こえるかもしれないが、商業利用は10年からそれ以上先だ。実用までの道のりは遠いが「今でも価格は十分お手頃」だとアルミエントはいう。1つずつ手作りしたとしても、人工葉はわずか2ドル(約263円)で作ることができる。
IITのこれまでの実験は、厳しい管理下で行われており、高純度の水と人工的に模倣した風と雨を室内で使用している(ただし屋外テストも始まった)。自然に降る雨の電荷状態を正確に管理することはできない。
IITチームはシステムのサイズ縮小も考えている。回路をもっとコンパクトにすることが目標だ。
アルミエントはシステムを自分のFitbitと比較する。Fitbitはぎっしりとセンサーが詰まっていながら手首に収まっている。最小限のシステムは、コンデンサー(電気を蓄積するため)、ダイオードブリッジ(交流を直流に変換するため)、およびLED(光を放つため)だ。
現実的なスケールを常に忘れないことが重要だ。現時点でこれらのシステムが生成する電力量はごく控え目だ。この種の接触帯電システムが風力タービンと競争できるようになることはない。