突拍子もない話に聞こえるかもしれないが、「摩擦帯電」という現象によってそれは可能だ。2つの表面の間で、摩擦によって電気が生まれ、分離される。セーターや風船で静電気を体験したことのある人なら、摩擦電気の効果を体験している。
摩擦帯電は古くから知られているが、その仕組みはまだ完全には解明されていないとイタリア技術研究所(IIT)Bioinspired Soft Robotics(生体模倣ソフト・ロボティクス)グループの研究者ファビアン・メダーは、簡単に言えば「ある物質と別の物質との電荷の交換」だと説明する
摩擦帯電に関連する比較的最近の発見は、これが植物などの生体物質にも適用できるということに関連している。具体的には、植物の葉の組織は電気を通し、葉の表面のクチクラには導電体を絶縁する能力がある。
IITの博士課程大学院生、セレーナ・アルミエントは、彼女の研究グループがこれを研究するための装置を開発するためにかなり時間がかかったことを説明した。それは摩擦帯電を研究するために作られた数少ない機器が、植物には容易に使用できないためだった。チームが作った実験装置は、天然の葉に人工の葉をくっつけ、ファンを使って風を送るというものだ。システムは一連のLEDに繋がれている。2枚の葉が揺らぐと互いに電荷を生成し、電荷はインジウムスズ酸化物で作られた電極に誘導される。
「人工の葉が植物を傷つけない」ことが重要だとアルミエントは強調する。その人工葉は柔らかく透明(光を遮蔽しない)な材料で作られている。研究チームがさまざまな材料で人工葉を試した結果、ある種のシリコンラバーが最大の電力を生成した。
チームは接触を誘発する源として、風の代わり、あるいは風に加えて、水も使用した。「風だけでなく雨を加えた理由は、この種の固体・固体接触帯電には、高湿度下で性能が落ちる傾向があるからです」
生成される電力の正確な値は風、表面積、衝撃の激しさ、落下する水の強さ、落下する高さおよび葉の撥水、親水の程度に依存する。そして、特殊なシリコンベースのコーティングを施すことによってカウンターチャージを生成する能力を高め、接触電気を生み出す。