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2023.03.30

低所得者層が牽引するインドのEコマース リーディングカンパニー3社

Getty Images

インターネット普及率とスマートフォン普及率の向上

スマートフォンの普及とインターネットアクセスの向上も、インドにおけるEコマースの成長を促進させると思われます。インド通信規制庁の最新データによると、国内のインターネット加入者数は2022年6月時点で8億3690万人となり、2022年3月の8億2490万人から増加しています。

インドの人口は14億人であることを前提とすると、人口の60%弱がインターネットにアクセスできることになります。Business Standard誌によると、インドでは毎月約1000万人の月間アクティブインターネットユーザーが増加しており、これは世界でも最も高い割合だといいます。

また、Statistaによると、インドのスマートフォンユーザーは2023年に10億人を突破し、2017年の2倍以上となり、2022年からも1桁台の高い成長を遂げると予想されています。Flipkartのプレスリリースによると、2022年のBBD期間中、同社では携帯電話販売台数が前年比70%増を記録しました。

また、同期間中に販売した携帯電話総数のうち、ほぼ50%がプレミアム携帯電話または2万ルピー(270米ドル)以上の高価格帯のスマートフォンでした。このように、インドの消費者のスマートフォン所有率、デジタル決済の普及率、インターネット利用率の向上は、モバイルコマースだけでなく、Eコマース全体の成長にもつながることになるでしょう。

競合状況

概要

パンデミックは消費者行動に大きな変化をもたらし、インドにおけるEコマースの普及を加速させました。現在、非組織小売は、組織化されたオフライン小売企業とEコマースの両方にシェアを奪われ続けていますが、IBEFの推計によると、組織化された店舗型小売とEコマース全体のシェアは、2019年のそれぞれ9%と3%から、2021年にはそれぞれ18%と7%に上昇しました。

そして、InvestIndiaによると3~5年の間に、Eコマースを含む組織小売のシェアは市場全体の30~35%に達すると予測されています。

インドでは、AmazonやFlipkartなどのオンラインマーケットプレイスがEコマース分野全体を圧倒しています。しかし、これまでオフラインだった多くのブランドが、消費者へ直接販売することでオンラインでのプレゼンスを構築しています。

たとえば、Hindustan Unilever、ITC、Maricoなどの日用消費財企業は、インドで増え続けるオンライン消費者に対応するため、デジタルプレゼンスを向上させています。また、美容、日用消費財、アパレルを中心に、さまざまな DTC(消費者直販)ブランドやデジタルファーストブランドもオンラインへ参入しており、競争はさらに激化しています。

図5では、インドのEコマース企業の売上高上位16社を紹介します。これらの企業の売上高を合計すると、2021年の恒常為替レートベースで2022年度(2022年3月期)には85億ドル超になります。

図5. インドのEコマース上位16社の売上高とGMVの推移(百万米ドル)

※データは暦年に最も近い会計年度のもの。なお、会計年度は同じ暦年の3月31日に終了。
※すべての数値は米ドルで、2021年基準換算レートで表示
出典:各社企業レポート/S&P Capital IQ/Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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