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2023.03.30

低所得者層が牽引するインドのEコマース リーディングカンパニー3社

Getty Images

また、人と企業との銀行間取引を可能にするリアルタイム決済システムであるUPI(統一決済インターフェース)は、インドで最も普及しているデジタル決済手段です。UPIは、QRコードやオンライン決済など、他の決済手段とも統合されており、小売企業との取引も容易に行うことができます。

インド準備銀行(RBI)の一部門であるインド国家支払公社によると、UPIは2022年12月だけで11兆9000億ルピー(1437億米ドル)相当、73億件の取引を行い、数量で前年比59.8%、金額で44.0%の増加となりました。デジタル決済は、消費者がその利便性にさらに慣れることで、今後も人気を維持すると思われます。

政府主導のEコマースへの取り組み

インド政府による「デジタルコマースへのオープンネットワーク(Open Network for Digital Commerce:ONDC)」などの取り組みが、2023年以降のインドEコマースの成長を支えていくでしょう。ONDCは、インドにおけるオープンなEコマースネットワークを推進し、キラナ(個人経営店)やその他の小規模事業者がAmazonやFlipkartなどの大手Eコマース企業と対等に渡り合い、オンラインプレゼンスを支援することを目的としています。

つまり、ONDCは、消費者や販売者にとってEコマースをより包括的でアクセスしやすいものにするとともに、同国小売市場におけるEコマースの普及を促進するものです。

InvestIndiaの調査によると、ONDCは今後5年間で、1500万件の小規模事業者と9億人のデジタル消費者を取り込み、毎月30億の注文件数を生み出し、480億ドルの商品総額(GMV)を目標にしています。

また、The Economic Timesによると、政府はONDCを通じて、2024年末までにEコマースの普及率を全消費者購買の25%に引き上げる計画です。しかし、現在の普及率を考えると、この目標を達成できるかどうかは微妙なところです(図2参照)。

しかし、ONDCは、インド政府によるEコマースとオンライン接続支援のための施策の一つに過ぎません。他にも、農村部の市場を高速インターネット網に接続することで、国のデジタルエンパワーメントを図る政府のキャンペーンであるDigital Indiaは、2025年までに1兆ドル規模のオンライン経済の構築を目指しています。

このキャンペーンでは、25万の村(人口10万人未満の町)にブロードバンドの普及を目指す、6100億ルピー(74億米ドル)規模の接続プログラムであるBharat Netなど、さまざまな取り組みが行われています。

さらに、スタートアップカルチャーを活性化し、イノベーションと起業のためのエコシステム構築を行うための政府の旗振りであるStartup Indiaは、2021年11月の74社から、2022年1月時点で178社のEコマース分野のスタートアップの立ち上げを支援しています。

同プログラムの一環として、政府は企業間電子商取引とマーケットプレイス電子商取引において、政府の承認なしに100%の外国直接投資(FDI)を認め、同分野への国際的プレイヤーの参入を向上させました。なお、食品オンライン小売企業については、製品がインドで製造または生産される場合に限り、政府の承認があれば100%のFDIが認められます。

また、2022年10月にインド政府は、全国でより高速な接続を実現するため、光ファイバー5Gネットワークの展開を開始しました。2022年12月現在、5Gネットワークはインドの50都市で利用可能です。
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文=RxR Innovation Initiative

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