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2023.03.30

低所得者層が牽引するインドのEコマース リーディングカンパニー3社

Getty Images

インドEコマース市場は、低所得者層の間でデジタル化が進んでいることや、政府が消費者と販売者の双方にとって、より包括的で利用しやすいEコマースにするための施策をとっていることから、拡大しつつあります。その結果、インドにおけるオンライン普及率は今後数年間でさらに上昇することが予想されます。

今回のマーケットアウトルックでは、インドのオンライン小売市場の規模や軌跡、市場要因、競合状況、イノベーター、2023年以降に注目すべき主要テーマについて説明しています。

市場規模とビジネスチャンス

Coresight Researchでは、2021年11月に発表された最新のインドブランド・エクイティ財団(IBEF)のデータ分析を基に、インドのEコマース市場の規模は、2022年の推定前年比成長率36.5%からは低下するものの、2023年には982億ドル、前年比成長率は30.7%になると予測しています。2021年のパンデミックによる急増の後、成長スピードの鈍化は今後4年間は続き、最終的には2027年に10%台前半の成長になると予想しています。

インドの低所得者層によるデジタル決済やオンライン利用の拡大、インターネットやスマートフォンの普及拡大、政府による施策などが、2027年までのインドEコマースの成長を牽引すると考えられます。

図1. インドEコマース市場規模(左軸:10億米ドル)および前年比(右軸:%)推移
※米ドルへの換算はすべて2021年の為替レート
※IBEFのEコマース市場規模データは、大部分が小売企業によるものであり、旅行などのサービスによるものはごくわずか(5%未満)である。
出典:IBEF/Coresight Research

また、パンデミックにより、消費者や企業の間でEコマースの普及が急速に進んだことから、インドにおけるEコマースの普及率(小売企業全体の売上高に占めるオンライン小売企業の割合)は2021年の7.2%から、2027年には14.4%に達すると予想されます。

2023年以降は、AmazonやWalmart傘下のFlipkart、Relianceなどの既存企業がオンラインサービスを拡大し、既存のオフライン小売企業がデジタルプレゼンスを確立するにつれ、組織小売企業によるEコマースのシェアは大幅に上昇し、インドにおける小売企業の統合がさらに進む可能性が高いでしょう。

図2. インドのEコマース普及率(オンライン小売企業売上高が小売企業売上高全体に占める割合)
※米ドルへの換算はすべて2021年の為替レートのまま
出典:IBEF/Coresight Research

インドのEコマース市場は、アパレル・フットウェア、美容・パーソナルケア、家電、食品・生鮮食品、家庭用品・家具など、さまざまなカテゴリーで構成されています。図3は、2020年時点(IBEFによる最新データ)のインドEコマース市場における特定カテゴリーのシェアを示したものですが、電子機器とアパレルがそれぞれ40%と、売上の大部分を占めています。

クラウドベースのEコマースソリューションプロバイダーであるUnicommerceによると、Eコマース市場の注文量は2021年度の44.9%増に対し、2022年度(インドでは4月1日から3月31日までが会計年度)は69.4%増となりました。同社の推計によると、美容・パーソナルケアとアパレル・フットウェアのカテゴリーが2022年度に最も高い注文量の伸びを記録しました。

図3. インドEコマース小売企業売上高カテゴリー(金額ベース)(10億米ドル、%、2020年)
(図内の訳、コメント「2020年のインドEコマースは電子機器とアパレルで8割が占められている」
選択肢、多い順「電子機器」「アパレル」「食品・生鮮食品」「宝飾品」「家具」)
出典:IBEF
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文=RxR Innovation Initiative

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