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2023.03.30

低所得者層が牽引するインドのEコマース リーディングカンパニー3社

Getty Images

短期的、中期的には、家電、食料品、アパレルのカテゴリーがEコマースの成長を牽引すると思われます。消費者は、電子機器や大型家電などの高額商品を購入するために、引き続きオンラインで開催される毎年のセールイベントやショッピングイベントを活用するでしょうし、食料品やその他の必需品カテゴリーでは、大量購入や非冷蔵飲料、シリアル、缶詰などの非生鮮品をオンラインで購入するようになるでしょう。

アパレルでは、オンラインで幅広いブランドや製品、価格帯にアクセスできることから、散発的に購入されることが多いカジュアルウエアやフォーマルウェアの購入が増加するでしょう。正しいフィット感や、自分に合った商品をより簡単に購入できるようになったため、オンラインで衣服を購入することに、多くの人が抵抗がなくなっています。

・インドの大手ファッションEC企業であるMyntraは、カスタマイズされたサイズやフィット感のレコメンデーションを行っており、顧客がアパレル製品を購入しフィードバックを提供するごとにその内容が更新されます。また、サイズやフィット感に問題がある場合は、ワンクリックで商品を交換することができます。

市場要因

低所得層都市でのオンライン消費の拡大

今後、インドのEコマースの成長を牽引するのは、Tier2とTier3と呼ばれる低所得層の都市になると思われます。当社では、人口50万~400万人の都市をTier2、50万人未満の都市をTier3と定義していますが、これらの都市における組織的なオフライン小売企業のシェアは、首都圏やTier1都市に比べて低いのが現状です。

そのため、オンラインでは、地元の店舗よりも低価格で豊富な品揃えの商品が提供されることから、消費者はオンラインを活用する必要性が高まっています。

実際、2022年のインドEコマース市場におけるTier2、Tier3都市のシェアは前年比で増加しています。図4は、Unicommerceの「小売とEコマースのトレンドレポート2022」のデータをもとに、2021年と2022年の都市別のEコマース注文件数の内訳を示したものです。同レポートによると、2022年のTier2、Tier3都市の注文件数は、Tier1都市の前年比47.2%増に対し、それぞれ85.3%、92.2%の伸びを記録しています。

図4. インド都市階層別Eコマースの内訳(2021-2022年)
(図内の訳、コメント「Tier2、Tier3都市の2022年の市場シェアはそれぞれ3.5%と4.0%増加している」)
出典:Unicommerce

同様に、毎年恒例のオンラインイベントであるFlipkartのBig Billion Days(BBD)とAmazonのGreat Indian Festival(GIF)の売上は、2022年に合計で760億ルピー(93億米ドル)となりましたが、経営コンサルタント会社RedSeerによると、買い物客の64%がTier2およびTier3の都市からであったといいます。

これらの都市ではオンライン消費が拡大しており、両階層都市はインドにおけるEコマースの次の成長ステージを後押しすることになるでしょう。

デジタル決済とウォレットの普及拡大

利便性とパンデミックよって、Amazon Pay、Google Pay、PaytmなどのデジタルウォレットがEコマースプラットフォームで広く受け入れられるなど、デジタル決済の導入に大きな変化がもたらされています。インド政府の国立投資促進・円滑化機関であるInvestIndiaによると、インドにおける2021年のEコマースでは、デジタルウォレットは最も人気のある決済手段で、45.4%のシェアを占めています。
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文=RxR Innovation Initiative

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