米紙ワシントンポストが報じたところによると、プーチンが実際にマリウポリを訪れたのは18日だったが、クレムリンは大統領が同市を離れた後、翌日になるまで発表を控えていた。
クレムリンの発表によると、プーチンはヘリコプターで到着し、自ら車を運転しながら複数の地区を訪れ、住民と対話し、復興の様子を視察した。今回の訪問は、プーチンがウクライナ侵攻の最前線に最も近づいたことを意味する。
プーチンは同日、ウクライナからの併合9周年を記念して、同国南部のクリミア半島も訪問していた。
プーチンのマリウポリ訪問は、ロシアが1年余り前に侵攻を開始し、5月に同市を占領して以来初めてのことで、同大統領が昨年以降新たに併合したウクライナ領を訪れること自体が初とみられる。
今回初めてマリウポリに姿を現したプーチンは、昨年の侵攻開始以降、たびたび前線を訪れているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とは対照的だ。一方、米国のジョー・バイデン大統領は1カ月前、ウクライナの首都キーウを訪問している。
ロシアによる侵攻開始前のマリウポリには、40万人以上の住民が住んでいた。一般市民の避難所として使われていた劇場が爆撃されるなど、ロシア軍から最も残酷な攻撃を受けた都市だ。国連はこの攻撃で約1300人が死亡したと発表したが、実際の死者数は数千人規模に上るとみられている。
ICCは17日、ウクライナの子どもたちを「不法に国外追放」し、ロシアに「不法に移送」したとして、プーチンとロシアのマリア・リボワベロワ大統領全権代表(子どもの権利担当)に逮捕状を出した。米紙ニューヨークタイムズは先に、ICCがウクライナ侵攻を巡ってロシアが犯した戦争犯罪の可能性について調査を開始したと報じていた。だが、プーチンとリボワベロワの逮捕と国際刑事裁判には他国の協力を要するため、恐らく差し迫ったものではないだろう。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官はこれまで、同国政府はICCの管轄権を認めていないと説明してきた。
(forbes.com 原文)