アジア

2023.03.14

中国の経済基盤が劇的に縮小 一人っ子政策の影響が顕著に

世界子どもの日を祝う中国の児童(Getty Images)

中国政府はこのほど、前回の国勢調査から約85万人減少し、70年ぶりに人口が減少したと発表した。この傾向は今後も続くとみられる。国際連合(UN)の人口学者は、現在14億人の同国の人口が2050年には13億人に減り、今世紀末には8億人程度になると、将来の減少を予測している。

こうした人口動態の現実は、ただちにではなくとも今後数年間で加速し、国の成長見通しに暗い影を落とすことになる。さらに、中国はすでに債務超過に陥っており、人口減少によって債務残高は一層膨らみ、経済的な悪影響が拡大することは必至だ。だが、この厄介な成り行きを緩和するために、中国政府ができることはほとんどない。

少なくとも経済学上では、国内の生産年齢人口の相対的な規模を考察することが重要だ。中国政府は最近まで45年間にわたり「一人っ子政策」を推進してきたことから、同国では現在、人口の多い世代が引退年齢に達する中、これを穴埋めする労働者の不足に悩まされている。

通常15~64歳までとされる生産年齢人口は、2010年以降ほとんど増加していない。他方で、定年退職を迎えた高齢者人口が総人口に占める割合は、2010年の9%から前回調査では13%へと、実に53%も急拡大している。その結果、2000年には定年退職者1人を約6.5人で、2010年には約5.5人の現役世代で支えていたのに対し、現在ではわずか3.5人で支えるまでになった。この数字は2030年には2.3人を下回り、それ以降はさらに小さくなると予想されている。

こうした状況の経済的な影響を把握するために、少数の労働者による負担を考えてみよう。これは、各労働者が自分自身と扶養家族に加え、退職者が必要とするものの約3分の1をまかなわなければならないということだ。少なくとも平均的には、3人の労働者でこれだけの必要性を担えるほど生産性は高くない。また、高齢化が進むと、医療や介護のために労働力が奪われるため、経済的な負担は数字以上に大きくなることが予想される。経済成長に必要な投資、特に中国を有名にした、かつての驚くべき成長ペースを実現した壮大な事業に求められる余剰生産をするだけの余力は、今後の中国にはほとんどないだろう。
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翻訳・編集=安藤清香

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