ウクライナが手に入れた「段ボール製ドローン」の実力と可能性

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コルボPPDSは自律飛行し、オペレーターは不要だ。可能な場合にはGPSナビゲーションを使うが、GPSが不能になっても、コントロール用ソフトウェアが、速度と飛行方向から位置を割り出せるようになっている。つまり、電波妨害を受けてもミッション遂行が可能ということであり、ウクライナにとっては、これは重要なポイントだ。今回の紛争では、ロシアが仕掛けてくる電子戦の影響で、大量のドローンがたびたび機能停止に陥っているからだ。

情報収集や監視、偵察といったミッション用にも調整

コルボPPDSはもともと小型の輸送用ドローンだが、ウクライナはなぜコルボPPDSが必要なのだろうか。おそらく輸送用ドローンとしてではなく、別のミッションに使うことを計画しているようだ。

SYPAQは、プレスリリースでこう述べている。「ウクライナ国内のエンドユーザーからのフィードバックを受けて、システムは、情報収集や監視、偵察といったミッション用にも調整されている」

このリリースから伺えるのは、コルボPPDSをロシア軍の占領地域に送り込み、カメラやセンサーを使って情報収集に利用する計画だ。コルボPPDSは、発射用カタパルトランチャーが小型であるうえに(人の手でも飛ばすことは可能)、飛行距離が120kmあるので、60km先の場所を撮影して戻ってくることができる。HIMARS(高機動ロケット砲システム)をはじめとする長距離ロケットが直接攻撃を加える場所まで飛んでいけるのだ。

さらにコルボPPDSは、爆弾の運搬などの「キネテック(運動性兵器)・ミッション」にも使われるかもしれない。実際これまでにも、貨物用の小型ドローンがそうした目的で使用されてきた。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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