ウクライナ、ドローンで国境から約600キロ離れたロシア空軍基地を攻撃

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複数の報道機関によると、ウクライナ軍は6日、ロシアの首都モスクワからそう遠くないところにあるロシア空軍基地をドローンミサイルで攻撃した。2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、ロシア領地へのウクライナの攻撃としては最も遠い場所への攻撃となり、一部の専門家はロシア軍の深刻な警備体制の不備を示していると指摘している。

AP通信によると、5日にモスクワの南東に位置するリャザン州の空軍基地が攻撃されたのに続き、6日にはクルスク州とサトラフ州エンゲルスにある空軍基地がドローンミサイル攻撃を受け、少なくとも3人が死亡した。エンゲルス空軍基地は最も近いウクライナ領土から約600キロ離れている。

ロイター通信によると、ウクライナによるロシア領土への攻撃は10月8日のクリミアとロシアを結ぶ橋の破壊以来だ。ただし、ウクライナ当局はこの攻撃への直接の関与は明らかにしていない。

米ワシントンのシンクタンク戦争研究所は「ロシアの複数の著名軍事ブロガー(ブログを書いている軍関係者)」がミサイルはウクライナ軍がロシア領内で発射したと主張しており、ロシアの防衛力の欠如を示唆していると報告書で指摘した。

英国防省は6日に発表した声明の中で、ロシア領土への攻撃はロシアの約10カ月におよぶウクライナ侵攻の中で「最も戦略的に重大な防衛失敗に入る」と判断したと明らかにした。

また、エンゲルス基地は30機以上の重爆撃機の拠点で「ロシアの核抑止力に貢献するとともに、ウクライナへの通常弾頭搭載型の巡航ミサイルの発射に頻繁に使用されてきた」と同省は指摘した。

ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領顧問のミハイル・ポドリャクは今回の攻撃後にTwitterで「他国の領空に何かが発射されれば、遅かれ早かれ未知の飛行物体は発射地点に戻ってくる」「地球は丸い」などとロシアを煽った。

11月上旬にロシアがウクライナ南部ヘルソンから軍を撤退させると発表したことを受け、ゼレンスキー大統領は「戦争の終わりの始まり」が近づいていることを示唆し、ウクライナは「平和への準備ができている」とも付け加えた。ロシア国防省は今回のミサイル攻撃を「テロ行為」ととらえたため、近い将来、和平交渉が進展するかどうかは不明だとYahoo!にはある。

ウクライナ当局は、10月にロシアとクリミアをつなぐ唯一の橋の一部が破壊された爆発への関与を直接認めなかった。この爆発によりロシアとその軍隊は黒海の半島で孤立した。ロシアのプーチン大統領はそれ以来、この攻撃を「テロ行為」と呼んでウクライナを非難し、攻撃の「共犯者」だと主張して8人を拘束した。以降、ロシアはミサイルでウクライナの電力インフラをひっきりなしに攻撃しており、ウクライナ国民の半分近くが電気がない中で暮らしていると報じられた。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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