「芝を刈るヒツジ」が都市景観とメンタルヘルスに与える劇的な効果

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芝を刈るヒツジたちの存在は、環境にやさしく費用対効果の高い都市景観の維持方法であるだけでなく、人間のストレスを減らし、精神衛生と幸福感を促進することがわかった。

もしあなたがカリフォルニア大学デービス校(UCデービス)の幸運な学生なら、芝刈りヒツジたちに会ったことがあるかもしれない。彼らは大学が飼育している家畜のヒツジで、新型コロナウイルスによるマスク着用とソーシャルディスタンスがキャンパスライフを劇的に変化させた2021年以来、キャンパスの芝刈りを担っている。さらにヒツジたちは芝生をきちんと刈り込むだけでなく、学生、教職員、訪問者たちの強力なムードメーカーになっていることがわかった。

芝刈りヒツジはキャンパスの士気を高める

邪魔な雑草を食べ、芝生を短く維持することに加えて、芝刈りヒツジたちは食べた場所に定期的に有機肥料を提供して環境を改善する。芝刈りヒツジがもたらす環境上の利益はそれだけではなく、機械式芝刈り機による騒音公害や化石燃料の消費も抑えることができる。しかし、最近の研究によって、さらにそれ以上のメリットがあることがわかった。ヒツジたちは驚くべき予想外の恩恵をもたらしている。それは人々の精神衛生と幸福感を改善し、学生のストレスを減少することだ…ただいるだけで。

「この研究はヒツジたちの芝刈り能力をテストするために始めましたが、私たちは今、彼らがどうやって人々の気持ちを穏やかにするかという研究成果を発表しています」と論文の主著者でカリフォルニア大学デービス校、農業・環境科学学部准教授、芝刈りヒツジプロジェクトの責任者を務める造園設計家のヘブン・キアーズが語った。

この研究が重要かつタイムリーなのは、草を食べるヒツジたちが学生の孤独感とストレスを軽減し、加速する学生の精神衛生と身体的健康の問題を緩和するからだ。

「これが研究だなんて信じられません。こんなにも楽しいなんて」とキアーズは熱く語った。

キアーズらは芝刈りヒツジの心理学的効果を知るために、UCデービス校の学生、教職員、近隣住民ら約200名を対象に調査を行い、ヒツジの近くを通った時や、ヒツジたちの中で勉強したり編み物をしたり絵を描いたりしているときにどう感じたかを尋ねた。

「芝刈りヒツジのグループで、現在の気持ちが非常にストレスが高い、あるいはストレスが高いと答えた人の割合は、芝刈りヒツジを体験したことのないグループと比べて有意に低い値でした」とキアーズは述べた。「ヒツジと接したグループはとにかく幸せそうでした」
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翻訳=高橋信夫

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