「芝を刈るヒツジ」が都市景観とメンタルヘルスに与える劇的な効果

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興味深いのは、いわゆる多機能ランドスケープの研究では、イヌまたはウマしか対象にしていなかったことだ。

「物理的環境とメンタルヘルスの両面において、景観管理を最大限に活用する方法を本格的に調べなくてはなりません」とキアーズは指摘した。これを実行するためには、動物たちの力を借りて、それぞれの長所を活かした仕事をする方法を考える必要がある。

UCデービス校の芝刈りヒツジのほとんどは、メスのブラックフェイス種、ハンプシャー種またはサフォーク種で、サウスダウン種とドーセット種も少数いる。これらの品種はすべて、羊毛のためではなく食肉用に繁殖されている。群には全身が黒のヒツジも一頭いる。


キャンパスの地図(DOI:10.3390/IJERPH20021280)

今年の3月末、毛を刈られたばかりのヒツジたちが午前9時から午後4時まで景観管理業務を再開し、10月末までの6か月間この仕事を続ける。ヒツジたちは毎日トレーラーに集合し、キャンパスの中心部に運ばれて、人間のファンたちの愛情あふれるまなざしの中で草を食む。化学別棟とベイナー・ホール(地図参照)の間に位置するその区画は、防雪柵とその外側の仮設電気柵に囲まれている。

夏の芝刈り仕事を終えた後、ヒツジたちはキャンパス内の牧舎で冬を過ごし、その間キアーズらは土壌圧縮や肥沃度、植物多様性、草の長さなどを測定して研究に集中する。これらのデータは、芝刈りヒツジが都会の芝生や景観にどんなメリットをもたらすか、キャンパスの士気をいかに高めるかを調べる研究者や景観管理者が有効に活用するだろう。

出典
A. Haven Kiers, Kelly M. Nishimura and Carolyn S. Dewa (2023). Leveraging Campus Landscapes for Public Health: A Pilot Study to Understand the Psychological Effects of Urban Sheep Grazing on College Campuses, International Journal of Environmental Research and Public Health 20(2):1280 | doi:10.3390/ijerph20021280

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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