人種差別にさらされる、八村兄弟の行動
NBAの八村塁も2021-22シーズン開幕前後「個人的な理由」によりチームへの合流を遅らせた。一部報道では、これもメンタルヘルス問題と指摘されている。チームは八村の休養に理解を示し、ペナルティなどを課すこともなく、八村がチームに再合流するまで、実に辛抱強く待つ姿勢を取った。八村については、人種差別攻撃も取り沙汰されている。現在はBリーグ群馬クレインサンダーズでプレーする八村の弟・阿蓮が2021年5月、SNS上での人種差別発言が「ひどい」とTwitterでつぶやいた。「日本には人種差別が無いと言ってる人がいるけどこうやって人種差別発言する人がいます。
晒してどうにかなる問題では無いと思いますが、皆さんに今一度人種差別の問題について関心を持っていただきたいと思いました」(原文まま)と差別発言のアカウントのコピーも投稿。すると塁が「こんなの、毎日のように来るよ」と返答するほど。誹謗中傷の酷さがうかがえる。
実際、八村がロサンゼルス・レイカーズへの移籍時、チームの公式Twitterが「レイカーズ初の日本人選手」と歓迎メッセージを発信すると、そのタイムラインには「日本人なのに、なぜ黒人なんだ」という書き込みも見られた。
もはやかつてのように誹謗中傷、罵詈雑言は「有名税」として片付けられるべきではない。
FIFAの先駆的なSNS対応
先駆的な誹謗中傷対策をしているのは、国際サッカー連盟(FIFA)だ。2022年6月のFIFA調査によると、国際大会の準決勝、決勝に進出したチームの選手の半数以上は、SNS上での攻撃を受けている事実が判明。これに対応するためFIFAは同年11月16日、カタールW杯をにらみ、ソーシャル・メディア・プロテクション・サービスをリリースし、#NoDiscriminationキャンペーンを展開した。このプログラムは国際プロサッカー選手会の協力のもと、すべてのチームと選手のアカウントを監視し、攻撃的な投稿を発見した際は、SNS運用会社へ直接レポートするほか、酷い場合には法的措置を執行する仕組みとなっている。また、このシステムは選手も利用できるように設定。虐待、差別、脅迫的なメッセージを瞬時に削除できる仕様としている。
さて、冒頭のアダム・シルバー コミッショナーの「宣言」もあったNBAでは、現在どのような対応がとられているのだろうか。