一方で、知的障害がある人はこれまで、競争原理に巻きこまれないというよさもあったと思います。そのなかで、私たちは彼らを「作家」「アーティスト」と定義し、美術文脈として競争原理が働く場をつくっています。そういう意味では、自分たちがやっていることが100%正しいとは思っていません。
でも、その人が作家として世に出たい、親御さんや福祉施設としても世に出したいと願ったときに、ヘラルボニーがその入り口となることはできる。「願えば、可能性がある」ということを、示すことができる存在になりたい。「普通じゃない」は、可能性なんです。
【聞き手・企画協力】栗俣力也◎TSUTAYA IPプロデューサー。「TSUTAYA文庫」企画など販売企画からの売り伸ばしを得意とし、業界で「仕掛け番長」の異名をもつ。漫画レビュー連載や漫画原案なども手がける。