ビジネス

2022.10.19 09:00

ヘラルボニーが大きな夢を実現し続けられるワケ 次に目指すは「100年企業」

ヘラルボニー社長の松田崇弥(右)と副社長の松田文登

ヘラルボニー社長の松田崇弥(右)と副社長の松田文登

知的障害のあるアーティストによる作品のプロダクトを手がける「ヘラルボニー」にとって、ことしは「創業当初からの夢が形になる」1年に。特に今月は大型企画が目白押しだ。

10月19日から阪急うめだ本店で始まる大型企画「ヘラルボニーアートコレクション」は、同社史上最大規模。ディズニーや複数のブランドとのコラボレーションを大々的に展開するなど、前編ではその全容を紹介した。

それだけではない。2018年創業当時から「ヘラルボニーのホテルを作りたい」と語っていた夢は、10月4日に本社のある岩手県の新盛岡バスセンター内にホテル「MAZARIUM」を開業し、実現させた。全34客室にヘラルボニーが契約する作家のアートが入り、うち8部屋は創業のきっかけになった場所、岩手県花巻市でボーダーレスアートを展示する「るんびにい美術館」在籍の作家が彩る。

また、「福祉のカルチャー化」を軸に奔走してきた双子経営者にとって初の書籍『異彩を、放て。「ヘラルボニー」が福祉 x アートで世界を変える』(新潮社)の発売も19日に控える。

ヘラルボニーはなぜ、次々と「大きな夢」を実現し続けられるのだろうか。双子の弟で社長の松田崇弥に成功の秘訣を聞くと、意外な答えが返ってきた──。


──怒涛の企画ラッシュですね。まさに「創業当初から夢が形になる」一年になっているんじゃないでしょうか。

百貨店という一流の場所での「アートコレクション」開催やホテル開業などが実現でき、心から嬉しいんですけど、まだスタート地点に立ったばかり。全部、結果が出るかわからず、これから始まることなので、いまとても緊張している状態ですね。

株式会社である以上、きちんと数字的な結果も出さなくてはいけない。そのプレッシャーの狭間にいます。最高の場所でいい形で質の高い企画が準備できたという自負はありますが、みなさんにどう受け入れられるのか。どきどきします。


ヘラルボニーのアートで彩られるホテル「MAZARIUM」の客室

──大きな夢を実現し続けられる理由を知りたいです。心がけていることはありますか。

実際はまだまだ全然、成長中の会社なので……。ただ、やっぱり秘訣は言い続けることなんじゃないかと思います。取材だけでなく、(取引相手の)打ち合わせや商談の場でも必ず、今後のことやいま考えていることを熱を込めてお伝えするようにしています。

すぐ実現できることばかりじゃなく、5年先、10年先になっても夢は言いまくろうと思ってます。そうすると、フィードバックをいただけたり、「だったらこういうことができるんじゃないか」と逆に後日提案していただけたり。そうやって次のプロジェクトに繋がることも多々あります。
次ページ > より生活に根ざしたブランドに

文=督あかり

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事