ビジネス

2022.10.19

ヘラルボニーが大きな夢を実現し続けられるワケ 次に目指すは「100年企業」

ヘラルボニー社長の松田崇弥(右)と副社長の松田文登


──早くも2022年を振り返るとどうですか。

ことしは「ブランドになろうと強烈に決意した1年」でした。ANB Tokyoで4周年記念の展覧会やハイアットセントリック銀座 東京との客室コラボや、Forbes JAPANと尾州ウールのコラボ商品として高級なものづくりに挑戦しました。百貨店への出店でも、ハイエンドなブランドに近づく取り組みをしてきました。

来年は、結果を生む1年にしたいですね。

みなさんの生活や空間に馴染み、幸福感を高めるスパイスになれるようなブランドになっていきたいです。


ディズニーコラボレーションのビジュアルに登場した車椅子のモデル、葦原海

──いま、これからの夢は?

将来の夢は、極論を言えば福祉界の「ディズニーになること」です。つまり最強のブランドIPを作り上げ、100年続く企業になること。ハイエンドなブランドともコラボできるし、身近な生活用品としても取り入れられるように。

子どもの頃、僕は岩手の人口一万人の街で過ごしました。中学時代には周りには障害を馬鹿にするような風潮もありましたが、ヘラルボニーがみなさんの生活にどんどん進出していくことで、知的障害のある人のアートに子どもの頃から触れられるように、そんな「当たり前」をじっくりと変えていきたいです。

中長期的には、2027年に上場目標を掲げていますが、ブランドの会社で終わりたくはありません。私たちは、障害のある人の「インフラ」になっていきたいと考えています。障害者雇用など就労の分野や福祉施設、習い事など多岐に渡るところに進出したいですね。


ヘラルボニーアートコレクションの原画展に出品される森啓輔の作品「Star Man」

──取材で松田さんが恐れや不安を口にしたのは、今回が初めてだった。成功の裏には、大きなプレッシャーがある。それも乗り越えられるのは、「障害」への先入観や当たり前を変えるという壮大な夢にチャレンジし、そこに大きな共感が生まれ続けているからだろう。

これからヘラルボニーは私たちにどんな夢を語り、実現していくのだろうか。異なる意見や見方とも対峙し、お互いを受け入れ合えるように。異彩たちのアートは言葉や活動ではなかなか変えられない意識の「壁」を軽やかに越えてくるようだ。


前編はこちら

文=督あかり

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