前編後編に分けて、アートライセンスカンパニーへと飛躍し続けるヘラルボニーの現在地について紹介する。
(後編:ヘラルボニーが大きな夢を実現し続けられるワケ 次に目指すは「100年企業」)
10月19日からは「ヘラルボニーアートコレクション」として、ヘラルボニー史上最大規模の大型催事を阪急うめだ本店で展開する。1階のウィンドー6面をヘラルボニーがジャックし、9階祝祭広場では関西在住の作家を中心とした原画展やヘラルボニーのアートで彩られたアパレルやインテリア製品などを展開する。10月31日まで。
そんななか、発表したのはディズニーとの大型コラボレーション。10月19日にすべての商品を公開し、阪急うめだ本店と自社ECにて販売を開始する。
ヘラルボニーの鮮やかなアートを纏ったミッキーマウスやミニーマウス。SHIPSやniko and…などのアパレルや、食器の「NIKKO」など、8以上のブランドとのコラボ商品を展開。すべてヘラルボニーがディズニーとライセンス契約を結び、販売元となる。
この大型コラボを通じてヘラルボニーは「Love Difference.」と題して、「違いを愛する」ことの大切さを発信している。その真意とは──。ヘラルボニー社長の松田崇弥に聞いた。
──ディズニーとのコラボレーションを通じて、「Love Difference.」のステートメントを発表されました。ここに込めた思いは?
今回、「違いを愛する」と掲げさせていただいたんですけども、「違いを許容しよう、認め合おう」というメッセージからもっと踏み込めるなと思ったんです。もしディズニーやミッキーと一緒に「違いって愛していくものなんだ」と発信できたなら、たくさんの人が救われていくだろうなと感じました。
僕たちが一生懸命「知的障害のある人ってこんな才能があるんです」「彼らは異彩だ」と発信することも大切ですが、コラボレーション商品を通じて、ミッキーマウスが「違いを愛する」ことの大切さや喜びを語るかもしれないことを考えると、まさに僕らの目指す世界へと大きく近づけると思いました。
──2018年の創業当初から松田さんは「障害」という言葉の概念やイメージを変えたい、とおっしゃっていました。ステートメントの「Diversity & Inclusion. そのはじまりは、あなただけの『好き』を見つけることかもしれない。」という一文に心動かされました。
社会には同調圧力がたくさんあって「これが普通」「いまこれが人気でトレンド」という情報が溢れていますよね。
ですが、オンリーワンや、自分自身に細分化された特有のスキルがあることを言えるような空気感が大切だと思います。
私には重度の知的障害のある兄弟がいますが、やっぱりなかなか「うちの兄が面白くてさ」と本気で思っていても言い出せない空気感があります。
あなただけの「好き」を見つけて、言いやすい空気感を作れたら自然と「D&I」に繋がっていくと思います。