「Love Difference.」ビジュアル
──コラボレーションを通じてディズニーからの学びがあれば教えてください。
学ぶことだらけでしたね。ディズニーの品格は「人」がつくっているということ。担当の方々の熱量はものすごいものでした。来年ディズニーは100周年を迎えますが、積み上げられた地層のようなノウハウととんでもなく大きなグローバルカンパニーと対峙させていただき、考えたことがあります。
ヘラルボニーはまだ創業4年ですが、今後100年続く会社になっていきたいと強く思いました。仕事へのプライドをもつ人々が集う、世界最大のブランドからは、まずビジネス面で学ぶことが多くありました。
また、ディズニー創業者のウォルト・ディズニーは「全ては夢見ることから始まる(It all begins with dreams.)」と言っています。夢を口にする、伝えることで、周りの人々が協力し、支えてくださり、本当に形になっていく。僕たちもディズニーのようになることを目指して、まずは夢見ることから始めていきたいと思います。
──阪急うめだ本店の大型催事「ヘラルボニーアートコレクション」の見どころは。
阪急うめだ本店は、百貨店において西の横綱です。そんな場所でアートコレクションを開催できるのは夢のようです。また、ヘラルボニーが6面をジャックする1階のウィンドー前は、1日数十万人が通る場所。それだけ多くの人たちの目にヘラルボニーのアートが触れることは、奇跡のように感じます。
9階祝祭広場のDisney|HERALBONY POP UP会場では、どーんと大きなミッキーマウスの人形が登場します。そのほか、ファミリア、ロクシタン、トゥモローランドなど名だたるブランドとのコラボ商品も阪急うめだ本店の各フロアに多数並びます。毎日のようにトークライブや公開アート制作などのイベントが行われ、お祭りのような13日間に。
見どころがひとつにまとめきれませんが、「障害福祉がここまできたか」とお客様に驚きや感動を与えられるような世界観に仕上がっています。まだお披露目前ですが、今回のコラボレーションを通じて自分自身「障害福祉のアートの世界が、世の中のマスコンテンツになっていく」、そんな予感というより確信が持てるようになりました。
阪急うめだ本店の1階ウィンドー ヘラルボニーのアートの前を多くの人が行き交っている
──今回「アートコレクション」を銘打っていますが、2019年時点ではヘラルボニーがライセンス契約を結ぶアート作品は1000点以上でした。いまはどれくらい増えていますか。また、アートの選び方は?
現在、2000点以上の作品のライセンスを保有しています。作家さんは150名以上、契約する福祉施設は約40施設となり、確実に増えていますが、創業当初から数を増やそうとしているのではなく契約までは丁寧なプロセスを経ています。
障害のあるアーティストのご家族から直接、問い合わせがあったり、作品が送られてきたり、ご紹介されたり経路はさまざまです。
ヘラルボニーアートコレクションに出品されるGAMONの作品「無題」
ことし7月から金沢21世紀美術館キュレーターの黒澤浩美がヘラルボニーの企画アドバイザーに就任し、プロの美術的な観点からも勝負できる作家さんのアートを選んでいます。
個人的には、重度知的障がいのある人の特徴である「繰り返し」のデザインが柄になっていることに可能性を見出して、このビジネスを始めました。阪急うめだ本店でのアート原画展はこれまでで最も多い160作品を出品します。自閉傾向が強いからこそ生み出せるアートの魅力を知ってもらいたいですし、結果に繋げていきたいですね。
(後編では、ヘラルボニーが夢を実現し続ける秘訣を探る。)