ビジネス

2022.10.19

ヘラルボニーが大きな夢を実現し続けられるワケ 次に目指すは「100年企業」

ヘラルボニー社長の松田崇弥(右)と副社長の松田文登


周りのみなさんからの反応は、体に蓄積されていくことで自信にも繋がります。

目先の視点だけになってしまうのはもったいない。ビジネスとしてはお互い「何を達成するためなのか」という視点を大切にしています。短期的な売上だけでなく、将来的なビジョンを達成するために結果を積み上げていくことが大切だと考えています。

──創業当初から躍進し続けており、プロジェクトも年々大きくなっています。外からは失敗する姿が見えないですが、どうですか。

失敗もたくさんしていますよ。いろんなことがありますけどね。

株式会社なのに数字目標が達成できてないことも多々あり、「自分は経営者に向いていないかな」とか「経営者ってなんなんだろう」と不安や焦りを感じることもあります。

投資家の方には数字的にコミットするため「(組織で)誰かが嫌われ役にならなきゃいけない」と言われますが、結局は自分も文登(双子経営者の副社長)も嫌われる勇気もないんですよね。その点は、組織として達成できていない要素です。

そのなかでも「うちらしいやり方ってなんだろう」とは考えますよね。経営本から手法を学ぶこともありますが、文登と話し合って今後も向き合っていきたい課題です。思考が合うかは別として考えていることはよく分かるので、この点は双子経営の強みを感じます。


ヘラルボニーの新たな経営・顧問陣。左から順にアート・プロデューサー笠間健太郎、エグゼクティブディレクター関玲子、企画アドバイザー黒澤浩美、顧問佐々木春樹

──新たな経営陣をはじめ、採用も拡大中ですね。組織的に強化している点は。

来年はヘラルボニーの「ブランドエクイティ」(ブランド価値)を強化していく予定です。異彩のアートを盛り込む世界観からより生活に根ざしたブランドになっていくため、商品ラインナップも大きく変わってくるでしょう。いまはブランド力を強める準備をしています。

これまでは自分も含めて、案件の規模が大きくても、大学野球でプロ野球に挑んでいるような状況でした。これがベンチャーなのかもしれませんが。

メディアのパワーもあり、すべての道のりが成功しているように見えているかもしれません。誰しもうまく行っているように見せたいですしね。いま組織としても一番忙しい時期なので内部から組織崩壊が起きないように危機感を持ちながらアクセル全開で進んでいます。

現在、従業員数は副業を含めて50人ほど。昨年は30人規模だったので、増えましたね。「アートと福祉で世界を変える」というヘラルボニーの理念に共感していただき、リスペクトできるメンバーと一緒に働けていると感じています。組織としてはそろそろ全く違うタイプの空気感をもつ人が入ってきても面白いとも思いますが。
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文=督あかり

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