この技術への期待は高く、DARPA(米国防高等研究計画局)が英国プリマス大学のマイク・マカロックが自身のQuantized Inertia(QI)理論にもとづいて動作するEMドライブを作るための契約を結んだほどだ。この理論には異議が唱えられているが(既知の物理法則から外れている)、検証可能な予測を提示しているため、測定可能なだけでなく実用になる推力を生み出す効率的なドライブのエンジニアリングを可能にするはずだ。マカロックはプロジェクトについて、すでにこれまでの設定目標を達成しており、今後も良い結果を生み続けていくと話している。
一方、中国でも同じテクノロジーを追求している。欧米ではほとんど無視されているが、西安の西北工業大学のフアン・ヤン教授率いるチームは、独自のバージョンを製作し、特異な推力を報告。2016年、中国空間技術研究院は本技術が検証され、軌道上で実験していると発表した。その後はほとんど音沙汰がなく新たな論文も公開されていないが、作業が続いていることを思わせる報告は散見されている。
NASAのEagleworksは独自のEMドライブを製作し、有効な結果を報告した(NASA)
では、謎の物体が中国バージョンのEMトライブで駆動されているかどうか、どうすればわかるのだろうか? この種の駆動装置は特徴的な電磁放射線を生成する可能性がある。
「EMドライブの空洞の共振周波数でわずかな無線周波数漏れがあるかもしれません。その機体はどんな赤外線センサーにも冷たく映るでしょう。装置の大部分を占めている液体水素タンクのためです」とショーヤーはいう。
これは、物体が飛行機のセンサーを妨害したという1人のパイロットの報告と関係しているかもしれない。マカロックはこれを、EMドライブの特徴であり、作動中であることを示す唯一の検出可能な信号である可能性があると考えている。
「電磁波による障害である可能性はあります、そこにははっきりとわかる排気や熱、支持する構造も燃料タンクもないでしょう。あるのはバッテリーかソーラーパネルだけです」とマカロックは述べた。