テクノロジー

2023.02.16 08:40

リテールテクノロジーの10大トレンド 小売企業はこう進化する

Getty Images

9. 5Gは、小売企業、メーカー、消費者に多くの利点をもたらす
5G技術は、2019年から2020年にかけて米国で展開が始まり、現在では主要な携帯電話のほとんどが5Gに対応しています。この最新世代のワイヤレス接続は、4G技術に比べ、さまざまな面で速度向上を実現しています。
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図10. 5Gの特長とメリット
出典:Coresight Research

出典:Coresight Research


現在、5Gのサービスや端末は世界中で利用できるようになったものの、アプリケーションの開発にはまだ時間がかかると思われます。5G技術のライフスパンは長く、6Gが登場すると思われる2030年までは続くと見られています。5G技術は時間の経過とともに進化し、例えば、ミリ波帯の追加により、帯域幅がさらに広がることが期待されています。

5Gの広帯域化と低遅延化により、消費者のスマートフォン利用環境は向上し、有線ネットワークのない、どのような場所でも、AR/VR体験が楽しめるようになり、メタバースへの参入がモバイル化される可能性があります。

5Gのその他のアプリケーションとしては、スマートシティがあります。スマートシティでは、自動車が都市情報や交通情報と常に通信することで、渋滞を回避し、運転時間や無駄な時間を最小限に抑えてルートを最適化することが可能です。
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無線技術はモビリティにとって不可欠ですが、5Gの膨大な生帯域幅はケーブルモデムに匹敵し、既にいくつかの通信事業者は、固定無線データサービスの提供を開始しています。チップサプライヤーのQualcomm社は、こうした取り組みを、無線によって光ファイバーネットワークに匹敵する帯域幅を提供できることを意味する「ワイヤレスファイバー」と表現しています。

10. セルフレジや非接触型決済端末は、フリクションを減らし、安全性を向上させることができる
自律型店舗技術の成熟に加え、小売店舗での非接触型決済に対する消費者の需要など、いくつかのトレンドが重なり、実店舗での自動決済やセルフレジの導入が加速しています。

日本をはじめとする高齢化による労働力の減少や、人材確保の難しさに直面している国々では、自律型店舗技術の登場がますます急務となっています。

2016年にAmazonが従業員向けにオープンさせたAmazon Goの1号店から始まった無人店舗は、スロースタートにはなったものの、その後、同店舗を複数店舗開店し、無人スーパーであるAmazon Freshを2店舗開店しており、Hudsonなどの小売業者は、空港店舗でAmazonのJust Walk Out技術を導入しています。

また、Standard AIやGrabangoなど、独自の自律型店舗技術を開発・完成させているイノベーターも複数存在し、各社の担当者は、この技術が大規模展開の一歩手前まで来ていることを確信しているといいます。

さらには、コンピュータビジョンの技術は、食料品店やドラッグストアで一般的になっているセルフレジ端末の導入も可能にしています。見た目は通常のレジと変わりませんが、スキャンされる商品を識別し、スライド(商品をスキャンせずに移動させること)やラベル交換などの盗難や不正を防止するために、膨大な量のコンピュータビジョン技術が導入されているのです。
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文=RxR Innovation Initiative

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