リテールテクノロジーの10大トレンド 小売企業はこう進化する

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データ収集と効率化

3. AI/MLと外部データにより、需要予測機能と精度が向上
当社としては、図7に示すように、需要予測は、販売、在庫決定、価格設定に影響を与え、最終的に収益と利益の促進につながるため、小売企業の業務にとって不可欠な要素であると考えます。

図7. 需要予測が小売企業のオペレーションに与える影響
出典:Coresight Research

出典:Coresight Research


小売業では、誤差によって在庫過剰や欠品が発生し、そのことが顧客満足度や収益に影響を与えるため、需要予測はできるだけ正確であることが求められます。AI/MLと外部データを組み合わせることで、予測の正確性だけでなく、信頼性も向上させることができます。

 ・AI/MLを採用することで、企業は膨大な量のデータを処理し、より大きなコンピューティングパワー(クラウド)にアクセスし、データ間の隠れた相関性を発見し、最適な予測モデルを決定することができます。

 ・外部データを追加することで、単純に過去データを採用する場合と比較して、予測の精度を高めることができます。外部データの例としては、天気、カレンダーイベント、ソーシャルメディアや製品レビューからのデータや競合他社の情報などが挙げられます。

需要予測によって、自動化されたプラットフォームは継続的に異常(例えば、棚在庫の不足で、実際の売上が予測売上を下回るなど)をスキャンし、店員に対策を講じるよう指示を出すことができます。

このように、高度な需要予測ツールは、サプライチェーンのデジタルツインを活用し、ボトルネックの発見やプロモーションなどの効果をモデル化することが可能です。

4. IoTとセンサーの融合で、実用的なデータを提供
センサーをつなげることでデータを収集し、インターネット上でそれらを共有、分析して、実用的な洞察を得ることは、小売企業やその他の業種の企業にとって多くのメリットがあります。

IoT(モノのインターネット)は、小売業、特にサプライチェーンと実店舗において、さまざまなアプリケーションを持ち合わせています。

サプライチェーンの面において、以前は技術の制約により、輸送中の完成品の状況や工場内の状況、その製造に使用される原材料の状況を把握することはできず、商品と輸送の可用性に影響を与える複数の外部変数が存在する現在の環境では、サプライヤーからの予測だけでは、小売企業はリスクを増大させることになります。

その点、材料となる商品の状況に関するデータを新たに入手することができれば、そのデータを使って自社の供給予測を調整し、不足がある場合には代替のサプライヤーを手配することが可能です。

また、実店舗においては、消費者の行動や関心に関する情報を収集できる多数のセンサーが存在します。カメラはセキュリティのために使用されるだけでなく、消費者の滞留時間の監視(ホットスポットの特定)、在庫に関するリアルタイムのデータ提供、うろつきや疑わしい行動を特定するなどの窃盗防止の機能をもたせることができます。

センサーの融合とは、複数のセンサーからのデータを組み合わせることで得られる相乗効果のことを指します。例えば、ある自律型店舗では、複数のカメラアングルから、消費者が商品をピックアップしたタイミングとその商品を特定することができたり、また、別の自律型店舗では、重量センサー、RFID(無線自動識別)タグ、カメラを組み合わせて、消費者が手に取った商品を特定することができます。

また、店舗に設置されたセンサーには、入店者数カウンターやスマートフォンを識別するセルラーアンテナなどがあり、匿名の顧客プロフィールを構築することが可能です。
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文=RxR Innovation Initiative

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