日本の価値とDAOと未来 まずは一歩踏み出すところから

Kitchen & Company 中道大輔(左)、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事 齋藤潤一(右)

日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。

Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

12月12日配信は、前回に引き続きAGRIST代表取締役/一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事、齋藤潤一がゲスト。後編では、彼がイメージする未来について話を聞いた。


中道:前回に引き続き、齊藤潤一さんをお迎えしてお届けします。齋藤さんは、全国10カ所以上の地方創生プログラムにも携わった経験から、地方で新しいことに挑戦する人々が周囲の人たちに反対され、孤独を感じ、心が折れてしまう問題を目の当たりにされてきました。

心が折れないようにするには、未来のビジョンを明確に持ち、そこに向かって行動すること。さらには、Web3やDAOによってどこにいても世界中の仲間と繋がることができると認識することが大事だというのが前半のお話でした。

齊藤さんは、この次の世界、あるいは未来を、具体的にどのようにイメージしていらっしゃいますか?

齊藤:Web3やDAOで繋がることで小さなプロジェクトがどんどん生まれて、そこから小さなイノベーションがたくさん起きて、それが社会をよくする大きなイノベーションになり、例えば既得権益の崩壊などの社会変革が起きてくると思います。

僕は「お金」「働く」「生きる」という3つの価値観がアップデートされると考えています。まず「お金」は、これまで追いかけるものでしたが、DAOを使ってプロジェクトをどんどんやっていたら、お金は自分たちの後ろからついてくるようになります。

「働く」は、リモートワークで世界中どこにいても関係なく働けるということ。

「生きる」はウェルビーングです。終身雇用で、どんなに辛くても1つの会社で働き続けなければならない「Have to」にまみれた世界から、自分がやりたいことができる「Want to」に満ち溢れた世界に変わる。そんな風に価値がどんどんアップデートされていくだろうと思っています。

中道:今おっしゃった3つは、全部変えなければまずいですよね。特に最後のウェルビーングなんか主要国の中で日本は最低ラインです。働きかたもそうで、1日のほとんどを過ごす会社が楽しくないと生きるのも楽しくないですよね。

齊藤:まさしく。今、僕の頭の中はDAOだらけなんですけど、DAOに繋がるには「エゴイストになれ」と言いたいです。日本でエゴはよくないもののように思われていますけど、どんどん自分のエゴを出して、自分のやりたいことをやって、小さくてもいいから自分の作りたい世界を作っていく。そういうエゴイストがいっぱい生まれてくれば、社会はどんどんよくなると思うんです。

中道:ビジョンがないとエゴってできないですよね。

齊藤:そうなんですよ。ビジョンを実現していくには「いいエゴイスト」になることが重要です。海外の人たちみたいに、イエスとノーでJust do it、ストレートにやる。日本は暗黙知でやっていくところもあって時間がかかってしまうところがありますよね。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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