ビジネス

2023.01.30

数字を売りにしない。「いい会社」に投資する鎌倉投信の原点

日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。

Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

鎌倉投信の代表取締役社長、鎌田恭幸氏をゲストに迎えた回では、金融業界に足を踏み入れたきっかけや、少額から投資ができる投資信託の運用・販売をおこなう同社が、独自の基準で選定した「いい会社」を応援する投資信託を立ち上げた理由などを聞いた(前編)。


中道:今回は、鎌倉投信の代表取締役社長を務める鎌田恭幸さんお迎えしてお届けします。お忙しいところありがとうございます。

鎌田さんは1965年・島根県生まれで、三井信託銀行を経て、バークレイズ・グローバル・インベスターズ信託銀行の副社長に就任。同社退任後の2008年11月に鎌倉投信を設立しています。メインの公募投信に「結い2101」があり、2021年には「創発の莟(つぼみ)1号投資事業有限責任組合」も立ち上げられました。

鎌倉投信が既存の資産運用会社と決定的に違うと感じるのは、「いい会社に投資をしよう」というコンセプトを掲げている点だと思います。正直、資産運用会社に対する僕の印象は、リターン中心の話をされるというイメージです。

ところが、Forbes JAPANで鎌田さんの記事を読んだところ、「こういう人もいるんだ」と驚いたものです。それが今回お声がけをさせたもらったきっかけになります。ではまず、鎌倉投信を立ち上げられたきっかけやプロセスについて聞かせてもらえますか。

鎌田:私は大学卒業後に信託銀行に入社した私ですが、当時は世の中の役に立つ金融や資産運用、投資を目指そうといった志は、実はまったくありませんでした。入社した動機も、大学のテニス部の先輩が三井信託にいて、「信託銀行は、都市銀行や証券会社よりも楽で給料もそこそこいい」と誘われたからです。本当に恥ずかしいことですが、当時はそんな不純な動機でした。

そして、たまたま証券管理や年金運用の部署に配属され、社会人の入口から今に至るまで、結果的に35年ほど資産運用や投資の世界で生きることになりました。もし営業店などに配属されていたら、僕の人生は大きく違っていたでしょうし、鎌倉投信ももちろんなかったはず。ですから、ラッキーだったと言えますね。人生とは面白いものです。
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文=小谷紘友 編集=鈴木奈央

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