齊藤:海外に行くことで日本人である自分をメタ認知できたことはよかったと思っています。それに、海外はいい意味での逃げ道にもなると思っていて。日本がダメだったら海外に行ってみるか、とか。考え方を広く持ってイージーゴーイングで楽観的にやってみるのはすごくいいと思う。
でも、海外に行くお金もないし、大変だし、時間もないし、という人は多いと思います。そういう人はオンライン上で繋がることができます。僕がやっている地方創生DAO以外にもオンラインコミュニティはたくさんあるので、その中で誰かと緩く繋がるだけでも全然違うと思います。
中道:世界にいろんなチョイスがあることにみんなが気づき始めると、日本にいなくてもいいということになって、日本からどんどん人がいなくなるんじゃないか。僕の実家はお茶の仕事をしているんですけど、そうなると何百年、何千年と続いた日本の文化がなくなっていくんじゃないかという危機感もあります。
齊藤:大事なのは「不易流行」だと思うんですよね。今あるものを大事にしながら新しいことをやることで価値を見出す。僕が農業用収穫ロボットで農業全体を新しくデザインしようとしているのもそうです。
それに、日本から人がどんどんいなくなってもいいと思うんです。いなくなっても、また帰ってくればいい。
こゆ財団のある新富町は人口1万6500人ぐらいの小さな町ですが、「子どもが帰ってきたくなるまち」を目指しています。その一環で、武田双雲さんに書いてもらった町名の看板を子どもたちの通学路にドーンと張っているんです。子どもたちは日本を代表する書道家の書を見ながら毎日通学しています。
中道:たぶん今は何も気づいていないかもしれないけれど、自分たちの町に対するプライドみたいなところに繋がっていくんでしょうね。
齊藤:そういうことです。1回離れてもまた戻って来る。そういうオルタナティブな生き方はこれから重要になると思います。
さっきお茶の話がでましたが、今、日本のお茶に注目していて。鹿児島にある堀口製茶の方と食事に行った時に、その方が作った粗挽き茶という粉末のお茶をデザートのアイスクリームにかけて、抹茶アイスにしちゃえとノリでやったんです。そしたら信じられないくらい美味くて。これには堀口製茶の人も気づいていなかった。
それをTwitterで発信したら、「やってみる」とか「早速買ってみた」と反響がありました。小さくてもいいから行動を起こすと、新しい発見があると思うんですよね。