サーキュラーエコノミーへの移行コストは、誰がどう担う?
サーキュラーエコノミーへの移行について議論していると、必ずといっていいほど課題として挙げられるのはコストの問題だ。分別や回収、再生のコストなど、リニアエコノミーと比較してサーキュラーエコノミーが少なくとも短期的には経済的に競争力がない状態にあることが移行を阻む壁となっているという話だ。
コストをめぐっては、企業努力やスケールメリットによりコストを下げる、製品に付加価値をつけることで消費者に負担してもらう、移行コストを投資家が長期的視点で支援する、政府が税制措置をとるなど様々な議論があるが、中台氏はこの点についてどのように考えているのだろうか。
「薩摩川内でも模索しているのですが、もしわれわれが分別や循環により燃やすごみの量を減らしていくことができれば、行政は焼却量を減らした分だけ他の自治体から焼却物を受け入れることが可能になるので、そこで収入が得られます。
また、そのゴミ自体も分別を進めることで、薩摩川内市だけではなくその周辺のエリアの脱炭素にもつながるという、企業連携ならぬ自治体連携が進みます。それぞれの自治体で焼却場や分別施設の維持、管理を連携すれば、これまでのごみ処理費用を循環ビジネス事業化の費用に変えることができるのです」
「事業会社だけでは脱炭素は達成できなくて、最終的にそれを使ってもらう消費者が協力してくれないと無理ですよね。それでは消費者がモノを捨てた先はどこに行くのかと言えば、一般の焼却場なので、焼却場に手をつけるのが一番なのです」
まずは地域の中で資源循環を進めていくことで、ごみの焼却量を減らす。それにより自治体としてはコスト削減や他の自治体からのごみ受け入れによる収入が期待できるため、そのお金を原資に新たなサーキュラーエコノミーモデルへの投資を進めていく。
自治体からの補助金でも消費者に負担してもらうでもなく、事業者が自らお金を生み出す仕組みを作り上げていくことが重要なのだ。