経済・社会

2022.12.28 16:30

九州電力の「火力発電所」跡地を、ビジネス創出の場に。仕掛け人に聞く


資源循環は脱炭素の一歩目。我慢ではなく無駄を削る。


サーキュラーパーク九州をはじめ、サーキュラーエコノミーへの移行を考える上で脱炭素という文脈は外せない。中台氏は、脱炭素とサーキュラーエコノミーの関係性についてはどのように考えているのだろうか。

「お客様には、『資源循環=脱炭素』だと明確に言っています。リユースしたい、長く使いたい、リサイクルしたいのはなぜかというと、結局はそれによって新しい資源を取り出さなくてすみ、そこに係るCO2が減らせるからです」

「最終的には人間と環境とが共存したいわけですが、このままでは温暖化で共存ができません。じゃあ人間が全員死ねばよいのかというとそうではない。もっと生きたいし、旅行にも行きたいわけです。すると、結局は削れるところを削る、自分たちでできることはしっかりやるしか方法はありません。それも、削るために我慢を強いるということではなく、まだまだ脇が甘くて出てしまっているCO2がたくさんあるので、これを削ろうと言っているのです。

入口を絞り切れないのであれば、そこは許容する代わりに、少なくとも日本に入ってきたものはできる限り国内で長く使い続けるという循環を作ることは脱炭素においてもとても理にかなっていると思います」

脱炭素の実現に向けて、化石燃料由来のエネルギーを再生可能エネルギーへと転換していくことは欠かせない。一方で、現実的に化石燃料から100%脱却することもすぐには難しい。

それであれば、まず目の前からできることとして、ごみとして燃やす量を減らす、また、長く使うことで新たに使用する資源の量を減らすことに取り組めばよい。その意味で、資源循環はどの企業でも取り組める脱炭素の一歩目となる、というのが中台氏の考えだ。

資源の状態が可視化されれば、最適な選択肢も見えてくる


脱炭素の実現に向けた一歩目としての資源循環という考え方はとても分かりやすい一方で、企業にとっては循環型の素材選択から製品デザイン、ビジネスモデルにいたるまで、数多くある選択肢のうちどの手法を採用することがもっとも脱炭素や事業にとって合理的なのかを判断するのは難しいのが現状だ。

そこでナカダイが模索しているのが、テクノロジーを活用して資源の状態を可視化するという方法だ。
次ページ > 大事なのは、資源として使える状態で回収すること

文=IDEAS FOR GOOD Editorial Team

ForbesBrandVoice

人気記事