JリーガーからYouTuberになった那須大亮、「セカンドキャリア」成功の秘訣

那須大亮氏(Photo by Masashi Hara/Getty Images)

アスリートが「現役」でいられる時間は、人生の中ではごく限られている。早い場合は20代で引退することもある彼らが、セカンドキャリアをどう構築するかはスポーツ界の課題でもある。

元Jリーガーの那須大亮氏は、現役引退後にアスリートYouTuberとして成功し、注目を集めている。

YouTuber活動にかける思いとアスリートのセカンドキャリアで大切なことについて、話を聞いた。

JリーガーからアスリートYouTuberへ転身


2022年に40歳となる那須氏は、大学在籍中の2002年に横浜F・マリノスに入団した。大学生Jリーガーとして、当時の岡田武史監督のもとチームの勝利に貢献し、Jリーグ新人王を獲得。その後も、守備的なポジションならばどこでもこなすユーティリティプレイヤーとして、東京ヴェルディ、ジュビロ磐田、柏レイソルと名だたるチームで活躍した。また、2004年アテネオリンピックの日本代表にも選ばれるなど、2020年に引退するまでの18年間をJリーグの最前線で戦ってきた。

引退後は、現役中から始めていたYouTubeに主戦場を移し、セカンドキャリアをスタート。チャンネル登録者が39万人(2022年4月末時点)もいる、アスリートYouTuberとして活躍している。

那須大亮氏

大食いにカラオケ。迷走したスタート期


那須氏がYouTubeを始めたのは現役時代の2018年。Jリーガーとしての知名度は抜群だったが、最初からうまくいったわけではないという。

「僕がSNSを始めたのは、サッカーの認知度を上げてサッカー界に貢献したいという気持ちからです。当初はサッカーに興味のない人にも見てもらえるように、大食い動画や歌を歌っている動画などをアップしていました。

でも当時は9割近くの人が、僕がYouTubeをやることに対して否定的で、『そんな暇があったらサッカーをやれよ』というコメントももらいました。今思えばもっともな意見ですよね。視聴者からしたら、このチャンネルは何のためにやっているんだろうという状態だったと思います」

当然フォロワー数も伸び悩んだ。那須氏は試行錯誤の結果、サッカーの知名度を上げるという目的のためにYouTubeをやるのだとしたら、サッカーという軸がぶれてはいけないということに気付く。それからは、いろいろなチームの現役選手とコラボをするなど、あくまでもサッカーに軸を置き、かつエンタメ性のあるコンテンツを作るようになっていった。
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文=濱中香織(パラサポWEB)

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