「そのあたりから視聴者のニーズが少しずつ分かってきた感じです。SNSを始めるのは簡単ですが、自分はなんのためにこの活動をしているのかという土台をしっかり作ることが重要だということに気付かされました。いくらいろんなことにチャレンジしても土台ができていないと、視聴者の理解は得られないと思います」
こうした経験をもとに生まれたのが、サッカーを生で観戦したことがないという若いインフルエンサーと実際にスタジアムに観戦に行き、その楽しさを伝える『【デレデレ】40歳のおじさんが娘と本気のデートをした結果…』などといったカジュアルな企画。
那須氏が人気の若手YouTuberとスタジアムに行ってサッカーを観戦する企画『【デレデレ】40歳のおじさんが娘と本気のデートをした結果…』
一方で、全国の高校サッカー部を訪ね、一緒に過酷なトレーニングをする『体験入部シリーズ』などの硬派な企画も。いずれも人気のコンテンツだ。
人気の『体験入部シリーズ』で米子北高校を訪れ、サッカー部員とともに、砂浜で地獄のトレーニングを体験
「失敗を拾いに行く」
YouTubeは、有名人が始めたからといって成功するとは限らない。那須氏も「まだまだ登録者数は少ない方だし、自分はYouTubeで何も成し遂げていない」と前置きをした上で、現在の成功の要因を自己分析してくれた。
「僕はサッカー界を盛り上げるという大きな目標を立てて、引退してからはそれに向かって一からいろんなことを勉強させてもらってきました。ただ普通にやっていたら、若い頃からビジネスの第一線で活躍された方には追いつけない。だとしたら、いろんなことにトライするとか、失敗をあえて自分から拾いに行くということをしないと成長スピードは速まらないと思うんです」
那須氏は現役時代から、失敗や人生において壁にぶつかることは、自分が成長できる一番のチャンスだと考えていた。
「大きなことを成し遂げようと思ったら、失敗はつきものだと思うんです。でも、失敗を恐れていては何もできない。まずは現場に立ってチャレンジし続けるという姿勢を崩してしまっては、目標には絶対にたどり着けないと思っています。
だから僕は、まずは失敗を拾いに行くというつもりでトライする。それがたとえ失敗に終わっても、トライしたことが次には必ず経験値として役に立つから。自分の力を100%出せば、それ自体が学びになると僕は思っているんです。
これから何かをトライする若い人には、失敗した時の恥ずかしいとか、悔しいといった、やった者しか知ることが出来ない感情を大事にしてほしい」
Photo by Cameron Spencer/Getty Images
那須氏はサッカー観戦の楽しさを伝えるため、かつては1人でスタジアムに観戦に行ってその動画をYouTubeにアップしていた。しかしそれだけでは、回数を重ねるごとに視聴回数が落ちたり、そのチームのサポーターしか視聴してくれなかったりという現象が起きた。その失敗をもとに企画をアップデートして、先ほど紹介したような人気のコンテンツを生み出したのだ。