モチベーションはサポーターへの思い
YouTubeで人気のコンテンツを次々と生み出すのは簡単なことではない。企画を練り、コラボしたい相手がいれば自らアポを取り、自分で現地に出向いて動画撮影をし、編集チームと協力して配信まで漕ぎ着けるには膨大な時間がかかる。
「実は今も『なんでこんなに時間がないんだろう』と、しんどくなることはあります。ただ僕は現役時代に、仕事の本質みたいなものを感じさせてもらえて、今もそれが役に立っています。ですから今度はそれをサッカー界に還元したいという強い思いが原動力になっています。
それから、僕を支えてくれた人たち。例えばサポーターの皆さん、スタジアムで掃除をしてくれていたおばちゃんや芝刈りをしてくれていたおじちゃんといった、裏で現場を支えてくれている人。そういういろんな方の思いが僕の背中をずっと押してくれているんです。辛い時こそ彼らに『立ち上がれ』と言われているような気がして、それが絶対に負けないぞという気持ちに繋がっています」
那須氏の「サッカー界を盛り上げる」という目標は、そうした彼を支えてくれている人々へ具体的な還元をすることだと言う。
「サッカーという素晴らしいスポーツは、裏方を含めたくさんの方の思いに支えられています。でもいくら思いや情熱があっても、対価がついてこなければ続けられません。僕の活動はまだまだ微力ですが、サッカー界が盛り上がって各クラブがきちんと収益化でき、少しでも現場の方々のモチベーションが上がるような環境を作って恩返しができたらと思っています」
人気企画「体験入部シリーズ」で高校生と一緒に砂浜で過酷なトレーニングをする那須大亮氏
アスリートのセカンドキャリアに必要なもの
那須氏はYouTubeなどのSNSだけでなく、サッカー関連のリアルイベントも成功させている。
例えば、2021年12月には日産スタジアムで「JAPAN ALL STAR 2021」というサッカー大会を主催。現役JリーガーとOB選手が集結して多くのファンを沸かせた。その他、講演会などを精力的にこなす那須氏にとってYouTubeは、それ自体が目的ではなく、サッカーを盛り上げる手段のひとつなのかもしれない。
JAPAN ALL STAR 2021
「確かにYouTubeは目的のための手段のひとつかもしれません。ただ、周りの方に喜んでもらうためには一生懸命やらないといけない。それはYouTubeだけじゃなくて、講演もイベントもどの仕事も同じです。
ですから僕にとってYouTubeというのは、セカンドキャリアというより、一生懸命やるうちに引退後に気付いたらそのままシフトしていたという感じです。そこから言えるのは、興味の入口は多いほうがいいし、その扉は絶対に開いていた方がチャンスは増えるということです」