元F1ドライバー片山右京が「ツール・ド・フランス」を目指す理由

ジャパンサイクルリーグ(JCL)チェアマン、JCL TEAM UKYO代表の片山右京

F1引退後、モータースポーツや登山家としての活動も続けながら、昨年発足させた自転車ロードレースのプロリーグ「ジャパンサイクルリーグ(JCL)」のチェアマンを務めています。

「自転車を通じた地方活性化促進」を合言葉に、ホームタウンを持つ地域密着型チームと自治体、JCLの3者が連携して、全国各地でサイクルロードレースを開催し、地域とともに「自転車文化」「スポーツ文化」を創りあげること。さらにこのリーグから「日本国籍のチームとして史上初のツール・ド・フランス出場を果たし、表彰台に登ること」をミッションに掲げ、活動しています。

そして、そのチームがいよいよ2023年のシーズンから、「JCL TEAM UKYO」として活動を開始することになりました。

世界最高峰を目指す道のりを皆さんと共有したい、一緒に楽しんでいただきたい。そんな想いを込めてこれから、ここForbes JAPAN Webで、日々の活動や考えをお伝えしていけたらと思います。応援していただけると嬉しいです。

JCL TEAM UKYO

なぜツール・ド・フランスなのか、なぜ自転車レースなのか、とよく聞かれます。

僕は、皆さんには元F1ドライバーとして認識いただいていますが、本業は登山家なんです。父親がロッククライマーだったので、子供の頃から教育を受けてきました。F1ドライバーの時にもモンブランに登ったし、これまで8000m級の山も制覇しています。そのトレーニングのために自転車に乗り始めて、大好きになったんです。

そう、とにかく僕は自転車が大好きなんです!

片山右京

「世界を目指すこと」の意味


で、日本の自転車ロードレースは?と見てみると、まだ世界のレベルにはほど遠い。

理由を聞くとみんな、コネがない、金もない、体格、もっというとDNAが違うと言うんです。トップ選手でさえ引退しても何するんだというセカンドキャリアの問題もある。

若い頃、F1ドライバーを目指した自分と重なる部分があって、応援しなければという使命感のようなものを感じました。一言で言うと、年を取ったということですね(笑)。

F1で果たせなかった夢を実現して欲しいという想いもあります。オリンピック、FIFAワールドカップに続く、世界の3大スポーツとして挙げられることもあるツール・ド・フランスに、日本のチームで出て、表彰台で日の丸を揚げたい。

「補助金」に頼っていてはダメ


コネがないって言うけど、実はそんなことはない。体格やDNAが違うというのも、今や大谷翔平選手や松山英樹選手のような、世界で活躍する姿を見せてくれる存在もある。

じゃあお金は?というと、別にF1みたいなバジェットがかかる訳じゃ無いし、他の競技と比べても、自転車は低コストでできるスポーツ。ないって言ってるとないままだし、補助金に頼っているようではダメですよね。

もちろんスポンサーフィーということもあるかもしれないけど、どちらかと言うとやっぱり、地元の人たちと一緒にサイクリングロードにサイクルステーションを作って、休憩したり、みんなでバーベキューを楽しんだりできる「サイクル・ツーリズム」などで事業収入を作ったり、あるいは自転車に乗っている皆さんが1000円のTシャツを買って応援してくれる、といったような、コミュニティー的なイメージを持っています。

ファンの皆さんとともにチーム活動を楽しむための新たな試みとして、トークン発行型クラウドファンディングの「FiNANCiE」を始めたりもしています。

自転車に関わる様々な人たちと一緒に、色々な挑戦を楽しみ、地域社会・経済のためになることに取り組みながら、競技力も向上していく。こういう世界観、みたいなことが「文化になる」ということなんじゃないかな。

片山右京
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写真=ジャパンサイクルリーグ 編集=宇藤智子

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