デザイナー森田恭通と“外食業界の雄”が、戦友であり続ける理由

バルニバービ 代表取締役会長 佐藤裕久(左)とグラマラス 代表 森田恭通(右)

ビジネスリーダーの私的な交遊を通して、彼らの“裏の顔”に迫る連載「エグゼクティブ異種交遊録」。

今回は、バルニバービ代表取締役会長の佐藤裕久と、グラマラス代表を務める森田恭通が登場。

コロナ禍でも勢いとどまらず100店舗近い飲食店を展開する外食業界の雄と、 国内外で活躍するデザイナー。同じ関西人で、四半世紀の付き合いという2人の話題は──。


森田くんは、ここぞというときに登場してもらう“戦友”。


佐藤裕久:出会いは27年前。大阪・南船場の材木店跡に「アマーク・ド・パラディ」をDIYでつくっている最中に、はす向かいの和食店をデザインした森田くんが何かを借りに来て。えらい派手な人だなと思いつつ、こんなデザインをする人がいるのかと。


さとう・ひろひさ◎1961年、京都府生まれ。91年、バルニバービ設立。95年に大阪・南船場にブラッスリー「アマーク・ド・パラディ」を開業以来、地方の不良立地を食起点でエリア開発し、好立地にする地方創生に尽力。2015年マザーズ上場。

いまは自社にデザイナーを擁しているので、インハウスで店はつくれる。ただ、何かキックや物語が必要なときには、森田くんに登場してもらうんです。

譲らない強さやこだわりがあるし、予算もかかるから覚悟もいるけれど、そのセンスや天才的なひらめきで、予定調和ではない面白くてドキドキするものができる。絶えず意識している戦友です。


佐藤が「初めて気合を入れて買 った」アート作品が、このデヴィ ッド・サーレ。蔵前のレストランに飾られている。

アートを買うのは、ニワトリとタマゴ。アートからインスパイアされて店をつくることもあれば、店に合わせてアートを探すこともある。どれも僕が好きな作品だから、1点も売ったことはありません。

静謐なギャラリーで緊張して鑑賞するのではなく、飲み、食べ、語りながら、何気なく見た絵から何かを感じてもらうことは、店が果たす役割でもあると思っています。

ここ渋谷MIYASHITA PARKのレストラン「NEW LIGHT」には写真家としての森田くんの作品、ドン・ペリニヨン ビンテージ シャンパンの「Crystallization」も飾っています。


著名人のポートレート作品で知られる画家、水戸部七絵と。佐藤は、水戸部の最初期の作品から収集している。

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文=松下久美 写真=若原瑞昌

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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