第3回目のゲストに迎えたのは、高島 宗一郎・福岡市長。2012年に福岡市を「スタートアップ都市」にすると宣言してから革新的な施策を数多く打ち出し、東京23区と政令市の中で「開業率No.1」の都市へと育ててきた。宣言から10年の節目を迎えたいま、あらためて高島市長に会って話を聞くと、「自分がドリルの刃となり、硬直を壊す」という力のこもった言葉が出てきた。このインタビューを通じて高島市長の思いを知ることで、きっと多くの起業家が勇気をもらうことだろう。
クレイ勇輝(以下、クレイ) 高島さんに初めてお会いしたのは7年くらい前でしたよね。起業家が集まる大きなイベントでした。
高島 宗一郎(以下、高島) そうですね。福岡市が「スタートアップ都市宣言」(2012年)をした後だから、それくらいの時期だったと思います。
クレイ お会いした当時は若い市長だな、という印象がすごく強かったです。
高島 市長に初当選したときは36歳で、周囲から「若い」「若い」と言われていましたからね。今ではもう、48歳です。自分がこの年齢になってみて思うのは、有権者が若い人に投票するということは、信頼というよりも「託してみよう」という期待の方が大きかった表れなのかな、ということです。チャレンジする機会をいただいた、というのでしょうか。
ただ、48歳ってどういう年齢なのかと考えたとき、世界を見渡してみるとエストニアの現首相が45歳、ニュージーランドの現首相は42歳なんです(※2022年11月時点)。それを考えると、自分が当時「若い」と言われていた事実は、日本の政治・行政の意思決定層に「若さ」というダイバーシティがいかに足りていなかったか、ということを表していると思うんですよね。
クレイ たしかに、経済界を見ていても若くて優秀な経営者がどんどん増えていますしね。僕も実業家として経営者の集まりやイベントに参加する機会が多いのですが、20代で上場したという話もよく聞くし、実際に20代の経営者からお話を聞くと「よくそんな考え方が生まれたな」と驚くことが多いんです。もちろん年上の方からお話を聞いても勉強になることは多いけれど、驚きや新鮮さというのは、若い経営者の話から感じることが圧倒的に多い。
高島 私自身も、経営者の方たちと接するなかで勇輝さんと同じことを感じています。あ、普段、勇輝さんと呼んでいるので、今日のインタビューでもいつも通り呼ばせていただきますね。それで、若い人たちが登壇しているセッションと、自分より年齢が上の人が登壇しているセッションの両方に参加してみると、年下の人から受ける刺激のが圧倒的に多いんです。発想も豊かだし、能力も高い。スタートアップやベンチャーの世界を見ると、若い層が面白いことをどんどん始めているんですよね。