——その気づきから、見える景色や実際の行動が変わっていったことはありますか?
朴:自分ごととなるとうまくはできないんですが、パートナーに対しては、なるべく話を聞くようにしています。パートナーのホルモンの変化に気づくためにも、生理用品は僕が買いに行くようにしていて。家事も下手くそでも自分がやるようにしていますね。パートナーは自分がやったほうが早いと思っているけど、頼むからやらせてくれと。当たり前のようにやってもらうと、甘えて成長できないんで。料理もつくらなくていいし、極力座っててほしい。いつもそれで喧嘩になるんですけど。
社会に対しては、ふとしたときに、これって男性目線じゃない?と疑ってブレーキがかかるようになりました。例えば、細かいことですが、飲みかけのお茶をちょっとだけ残すとき。最後は女性が片付けてくれるという甘えがあるんじゃないかと思うんで、残さずに飲み切って片付けまでやるとか。以前仕事関係の方々とBBQをしていたとき、女性ばかりが片付けをしていて、年上の男性に「おかしくないですか?」って意見したこともありました。そうやって、自分が気づいたことや違和感はできるだけ口にして、“当たり前”に抵抗していく、孤独な戦いを実践中です。
違和感をスルーせず、身近なところから“当たり前”の風景を変えたい
——周囲が“当たり前”に思っていることに対して、違和感をスルーせずに意見することは簡単にできることではないですよね。いまだけ自分が我慢すればいいと思ってしまいがち。朴さんが「孤独な戦い」ができるのは、どうしてなんでしょう?
朴:これは僕の国籍に関わることなんですが、在日朝鮮・韓国人なんで、不当な差別を受けることがあるんですよ。手続き一つとってもしなくていい努力を強いられることもあるし、いまだにネット上で暴言をぶつけられることもある。
僕自身は現段階では、子どもを持たない選択をしていますが、姉の子どもは日本の学校に「朴」という苗字で通っています。彼らが大人になってもこの不当な差別が続くのかと思うと、どうしても嫌だ。だからそれまで「そういうものですよね」と飲み込んできたことに対して「おかしいですよね」と怒るようになった。
一言でいえば、めんどくさいやつになったんです。誰かが発信しないと、不当なことだと認知されないんで、「まあいっか」とスルーせず、波風立てる「孤独な戦い」を僕は選んでいます。