広がる生理の選択肢 あえて「止める」選択も

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本記事のテーマは「生理の選択肢」。

産婦人科医で医学博士、広尾レディース院長の宗田聡先生に監修・コメントをいただきながら、生理のしくみと、現状の日本にある生理用品の選択肢、さらには海外で展開される生理用品についてご紹介します。

脳が指令を出して妊娠に備え、子宮内膜を剥がして大掃除


生理は、体内サイクルができて、妊娠・出産をする準備が整っていることを示すものでもあります。生物学的女性は、「原始卵胞」と呼ばれる「卵胞」のもとを約200万個持って生まれます。そして妊娠可能な時期になると、女性ホルモンの働きによって、一定のサイクルで卵胞から卵子が排出されます。これが「排卵」です。

排卵が起きると、子宮内膜はふかふかのベッドを用意するように1cmほどの厚さになり、精子と卵子が出会ってできる受精卵を受け止める準備をします。子宮は排卵するたびに、妊娠するための準備を進めているのです。

この排卵のしくみには、「脳」が重要な役割を果たしています。脳にある視床下部から命令がでて、下垂体から「LH(黄体化ホルモン)」と「FSH(卵胞刺激ホルモン)」を分泌することで、卵巣に向かって「卵をつくって!」「排卵して!」と指令を出しているのです。

脳から指令を受けた卵巣は、妊娠に必要な2種類の女性ホルモン、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。この2つの女性ホルモンが子宮内膜に働きかけることで、子宮内膜はふかふかと厚くなっていくのです。



受精卵がやってこない、つまり妊娠しなかった場合、準備していた子宮内膜は剥がれ落ち、次の妊娠に向けてリセット、子宮内を大掃除。用意していたフカフカのベッドのシーツを全部はがして、次に備えてまた新たにベッドメイキングをします。そうして月に1回のペースで子宮内膜が剥がれ落ちる現象、これが「生理」です。



生理が起きるたびに、生まれ持った卵胞から卵子は体外へ排出され減っていきますが、そもそも細胞は老化してどんどんなくなるため、毎月300〜500個ずつ減少していきます。ですから、月に一度、それもたった1個の排卵で卵子がなくなっていくのではありません。原子卵胞が1000個程度になると、卵胞が育たなくなるため、排卵しにくくなり、生理も起きにくくなります。そうして迎えるのが「閉経」です。
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文=徳 瑠里香 イラスト=遠藤光太

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