テクノロジー

2022.10.28 13:00

宅配より「店舗受け取り」を好む若者たち 米国の小売事情


宅配ロッカーやキオスクは、人件費やラストワンマイルの輸送コストの削減という点でコスト面でも大きなメリットがありますが、運用面ではいくつかの複雑な問題が課題となっています。まず、ロッカーにはさまざまなサイズがありますが、一般的にあまり大きな荷物は入らないため、利用が制限されます。

また、店舗外に設置する場合は、投資やメンテナンスのコストに加え、設置場所の選定や設置に関する自治体との交渉が必要です。更には、不正確な注文や誤配送が発生した場合、小売業者にとって大きな負担となる可能性があります。

しかし、今後、人々の外出時間が増える一方でオンライン注文が増え、小売業者がよりコスト効率よく便利に遠隔地での受け取りが実現できるようになれば、スマートロッカーはさらに普及するでしょう。

ロイヤルティプログラムがピックアップの成長を阻害する可能性


消費者は通常、注文時の追加送料のために、フルフィルメント・オプションとして配送を選択することを躊躇する傾向があります。オンラインショッピングの普及に伴い、多くの小売企業がプレミアムロイヤルティプログラムやサブスクリプション・ロイヤルティプログラムを立ち上げ、デジタルショッピングを楽しむ消費者のロイヤルティを獲得しています。

これらのプログラムでは、配送料無料(ただし、多くの場合、最低注文数が必要)が主な特典として提供されています。これは、将来的に配送への比重をさらに大きくし、ピックアップの市場浸透率を低下させる可能性があります。

このことは、2021年8月に実施された当社の調査結果でも裏付けられており、オンライン食料品のプレミアム/定期購入プログラムで消費者が最も望んでいる特典は、「無料配送/ピックアップ」であるという結果が出ています。無料ピックアップとはありますが、一部の小売業者では会員でなくても無料ピックアップが利用できるため、消費者は無料配送を最大限に利用することを望んでいると思われます。

図7. Amazon PrimeやInstacart Expressなどの食料品小売店やサービスから、有料のオンライン食料品の定期購入を行っている回答者が、登録または更新の動機としている主な特典


図内の訳:上から「無料配送/ピックアップ」「スピード配送」「商品価格の割引」「お得情報」「パーソナライズ・オファー」「無料プレゼント」「ホリデーシーズンの割引」「その他」 コメント「オンライン食料品のプレミアム/定期購入プログラム会員の半数以上が、無料配送/ピックアップを登録、更新の理由としている」 対象:オンライン食料品の定期購入プログラム会員である18歳以上の米国人回答者230名(2021年8月調査) 出典:Coresight Research
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文=RxR Innovation Initiative

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