中小の小売企業によるクリック&コレクトの推進
米国の小売企業の多くは、まだ独自の配送サービスの開発や拡張を成功させておらず、配送需要を満たすために第三者の配送プラットフォームと提携しています。しかし、貴重な顧客データの損失や、顧客との取引関係のコントロールが難しくなるなど、こうした提携の欠点も浮上しつつあります。また、プラットフォームが課す値上げや追加料金によって、配送サービスは価格競争力を失う可能性もあります。
そこで、小売企業にとっての次のステップは、配送サービスの価格を下げるか(プラットフォーム上でより安価な配送を提供するか、自社プラットフォームを構築する)、積極的にピックアップサービスを推進するかのどちらかになるでしょう。後者は、より簡単で即効性があるため、また、コスト削減技術の導入で大手小売業者に遅れをとっている中小小売業者は、短中期的には配送よりもコストのかからないクリック&コレクトの推進を行う傾向が強くなると思われます。
ギグ・エコノミーへの批判の高まり
ほとんどの配送プラットフォームはギグ・エコノミーに依存しており、その独立した契約システムは、競争的な環境の中で必要とされる柔軟性を提供しています。しかし、このモデルは未だに流動的であり、特にパンデミック時には、条件や賃金をめぐる複数の論争が浮上し、ギグワーカーの待遇に関して非難が集まっています。世界中の政府がギグ・エコノミーに注目し、雇用主は労働者へ適切な福利厚生を備えた労働環境を与えるべきだとしています。
こうした動きから、各国の法律の抜本的な改正は、配送プラットフォームの経済性を揺るがし、人件費を上昇させる可能性があります。これらは、配送市場の成長を抑制する可能性がある一方で、ピックアップサービスには好影響を与え、また、宅配ソリューションのためにそのようなプラットフォームに大きく依存している小売業者の売上を減少させる可能性があるでしょう。
店頭、カーブサイピックアップのデジタル化
BOPISとカーブサイドピックアップは大きな支持を得ていますが、長い待ち時間、曖昧な集荷指示、顧客とスタッフをつなぐタイミングの悪い待ち合わせプランなど、欠点がないわけではありません。
ロケーション・インテリジェンス・ソリューションプロバイダーのRadar社の共同設立者兼COOであるCoby Berman氏は、待ち時間の短縮は顧客満足度の向上と再来店の確率の上昇に関係するとCoresight Researchに語っています。
具体的には、商品チームが適切な顧客コミュニケーションを構築し、受け取り時の混乱を減らし、よりシームレスなサービスを提供できるとし、また、店舗スタッフがリアルタイムの更新情報を受け取り、顧客が到着したときに商品が準備できていることを確認できるため、待ち時間を短縮できることを挙げています。
そのため、現在、一部の小売業者は、BOPISやカーブサイドピックアップのオペレーションを拡大する際に、顧客の待ち時間をなくし、スタッフの効率を最適化し、収益性を改善するために、サービスをデジタルで強化する取り組みを行っています。