子宮内膜症や月経困難症を予防・治療する選択も
初潮が早くなり、妊娠期間・授乳期間が極端に減った現代の女性は、戦前の女性に比べて、生涯に経験する生理の回数が約400回分も増えています。
ライフスタイルが変化し、生理と排卵が増えたことによって、身体(子宮や卵巣)への負担による病気も増加しています。たとえば毎月排卵が起きていることで卵巣が刺激を受け、卵巣がんになるリスクが高まります。また、生理回数が多く子宮が活性化することで子宮筋腫や子宮内膜症になる危険も高まっています。
身体の負担や病気のリスクを減らすために、低容量ピルやミレーナとも呼ばれるLNG-IUS(レボノルゲストレル放出子宮内システム)で、排卵回数を減らし、生理をコントロールする選択肢もあります。
「生理を起こすことが大事だと思う人もいますが、そもそも生理は子宮内膜が剥がれ落ちるただの新陳代謝のようなもので、排卵とは別物です。妊娠するためのしくみとして排卵があって、結果的に生理が起きるのです。なので、妊娠する必要がなければ、ホルモンを調整することで、排卵と生理を止めてしまっても問題はありません。むしろ、生理と排卵によって子宮や卵巣を刺激することで、子宮内膜症や月経困難症などの病気に悩まされることのほうが問題です」(宗田先生)
・低容量ピル
低容量ピルは、妊娠に必要な2つの女性ホルモンに似た成分を配合した内服薬。服用することで、ホルモンが充足した状態になり脳が勘違いして、卵胞の成熟と排卵が止まり、その結果、生理に伴うつらい症状が起こりにくくなります。性感染症は防げませんが99%以上の避妊効果も。生理周期が安定し、子宮内膜の増殖を抑える効果もあるため、子宮内膜症の予防や治療にもつながります。
産婦人科で処方が一般的。費用は自費で1シート2000円〜4000円程度。副作用として、稀に血栓症のリスクがあるため、習慣的に喫煙をしていたり、40歳以上で血栓症のリスクが高い人にはおすすめできません。飲み始めに吐き気など消化器症状が出ることもありますが、多くは次第に慣れてなくなります。3ヶ月使用して、何か不具合などあれば、いくつかの種類があるので、主治医に相談し薬を変えてもらうこともできます。
・LNG-IUS(レボノルゲストレル放出子宮内システム)
黄体ホルモンを持続的に放出するT字形の器具を子宮内に装着することで、子宮内膜が増殖しにくくなり、生理痛や経血量を減らすことができます。日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、99%以上の避妊効果が認められているため、多くの国で避妊具としても使われています。産婦人科を受診して装着します。費用は保険適用で1万円程度(避妊目的だと自費になります)。一度装着すると約5年間、効果が持続します。