ビジネス

2022.09.24

在住者が見る、欧州のサーキュラーエコノミー最前線


Q. 食の分野についても気になります。食品パッケージの循環も進んでいるのでしょうか?


富山:フランスでは、2022年1月1日からスーパーで野菜や果物をつつむプラスチック包装を禁止しており、スーパーに並んでいるものはほぼそのまま売られています。また、フランスでは食品パッケージのない「量り売り」が生活の中に浸透しており、フランス世帯の40%が量り売りで購入しているというようなデータもあります。パリでは近所のスーパーに行っても、こうした量り売りコーナーがほとんど必ずある状況です。

私自身も食品や調味料、洗濯洗剤の量り売りなどよく利用するのですが、ヨーロッパの個包装されているものはそもそも量が多いこともあるので、好きな量で少量からでも買える量り売りはとても便利です。包装されているものを買うよりも価格が安く済む点などは、フランス国内で普及しているポイントにもなっていると思います。


Photo by Erika Tomiyama

Q. 欧州に住んでいて、日本がどう見えるのか、日本が今後導入したほうがいいことなど、考えていることがあれば伺いたいです。


クリューガー:日本では、分別が大変うまく機能していると感じます。これは、小学生の時から子供たち自身が学校の掃除をしたり、地域清掃をしたりするといった教育やそれにもとづく習慣によるところが大きいのではないでしょうか。私がこれまで住んだ国々では、学校の掃除は民間企業への委託が多いです。

日本で導入したほうがいいと思うことは、働き続けやすい環境をつくることです。持続可能性には「ひと」の持続可能性、「人類の活動を継続させること」も含まれます。働き続けやすい制度と生活のしやすさに重点においた政策、それに見合う賃金体系を整えれば、国民をはじめ多くの人にとって魅力的な市場となり、真に循環型の社会がつくられていくのではないでしょうか。

【登壇者プロフィール】


藤原ゆかり(オーストリア・ウィーン)



Circular Economy Hub編集部。イギリスの大学院で戦争学、国際関係学を学ぶ。EUの政策・規制、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および調査に携わっている。趣味は旅行・油絵・書道・犬の飼育・ワイン(飲酒)。
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文=Circular Economy Hub Editorial Team

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